第18話 変わる思い、揺れ動く感情。

高野は俺が誤解していただけでとてもいいやつだった。俺は謝罪のの気持ちも込めて高野につげる。


「すまんかったな。これからはお兄さんって呼んでくれて構わないから。ちょっとそこで飲み物でもお詫びさせてくれ。」


すると高野は一瞬きょとんとなり、改めて気を持ち、俺の言葉に首を振る。


「いえいえ、神田先輩って呼ばせて貰いますよ。お兄さんというのは先輩がちょっとシスコンで有名なので言ってみただけです。」


言い終わると高野はにっこりと歯を出して笑う。

こういうイタズラ心?というのだろうか、まるで可愛い弟のように俺の目に写る高野。


俺は思わず抱きしめたくなったがギリギリのところで踏みとどまり、俺は身を引く体制をとる。


「すまんな、邪魔しちまって、、それじゃ俺帰るわ。高野くんなら安心だ。」

「何言ってるんですか先輩?」

「お兄ちゃんも一緒に見て回るでしょ?」

「いやいやいいよ、例え付き合ってないにしても俺はちょっとお荷物みたいな感じだろ?だから帰るって。」

「「……………………」」


2人は黙る。

本当にお荷物なのか。と内心落胆し、帰路の方へ足を向けようとした。


その時だった。

高野くんが、あの優しい高野くんが信じられない程の低く呆れた感じでため息を吐いた。


「はぁ……先輩、そこまで行くと罪ですよ。」

「僕はちょっとトイレに行きますね。」


そう言い残して彼は視界から消えていった。

そしてその空間には俺と有栖だけが残された。


有栖は黙っている。

怒っているのだろうか。泣いているのだろうか。

わからない。


わからないからこそ俺は言ってしまう。


「俺は帰るよ、あとは高野くんと楽しんで。」


俺は有栖に背を向けた。

そして左足を前に出し右足を更に前へと出す。

歩きだしですぐに俺の背中に熱が燈る。


有栖が俺にしがみつくようにして抱きつく。


「有栖………」


「楽しくない………」


「え……?」


「……お兄ちゃんと一緒じゃないと楽しくない!!」


有栖の目から流れる大粒の涙は俺がここに残る理由としては十分すぎるものだった。

俺は有栖の頭を優しく、壊れかけの卵のように撫でる。


「もうちょい……見て回るか。」

「うん!!」


有栖は涙を右手で拭いながら俺に全力の笑顔を見せてくれた。


心臓の鼓動がこの時妙に激しくなった。


この時からだろう。

俺が有栖のことを妹として見れなくなり始めたのはー

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