第3話 小さな手

今日の俺は視線を集めていた。

それは何故か。

おれ右手を見れば一目瞭然だろう。

俺の手に重なる少し小さな手。


そう、それは”妹の手“!


そのかわいく小さな手は軽い力で俺の手を握っている。

周りからはおそらく仲が良すぎる兄弟…………………


違うな。


”恋人と間違えられている“


俺は本能的に否定しようとしたが妹からの上目遣いのかわいい視線が俺の思考を停止させた。


俺は気にせず歩き始めることにした。


我ながら凄いシスコンっぷりだと思った。





校門に着くとその視線はさらに強まる。

そして有栖が目を輝かて俺に言葉を放つ。

「お兄ちゃんって、、全国模試1位なの!?」

「そーだよ〜」

「…やばい………凄すぎ………。お兄ちゃんほんと尊敬だよー。」

有栖は急に涙目になり俺を拝むように見つめる。………なんだか今日の有栖は情緒不安定だな………。そう思うがかわいいので気にやまない。


それより校長だ。

俺はあの女を許さん。

俺の模試の情報をどこから入手したかは知らないが、バカでかい横断幕に

”神田 楓夏くん全国模試第1位!”

と書いてある。

俺は恥ずかしくて仕方なかったのでその日の放課後すぐに校長の元に赴いたが校長の八乙女 波月(やおとめ はづき)はただ腹を抱えて笑っていた。こんな人が校長でいいのかよ………。俺はこの時本気でそう思った。



その横断幕のせいで俺は注目を浴び続けている。そして今日はその視線がさらに強い。


当たり前だ。


女の子と手を繋いで登校しているのだから。


”おめでとう〜”と冷やかすものもいれば嫉妬するもの、悔しそうに俯くものまでいた。


……俺って意外とモテてたのか??


まぁもう遅いのだが……。


有栖も流石に恥ずかしくなったのか手を離して先を歩く。

俺もひとまず安堵してその後を歩く。


ふと俺は思った。

これが兄妹とバレたら不味いんじゃないかと。

雰囲気的に多分俺が重度のシスコンと格付けされてしまう。クラスの女子に

”話しかけないでよ!シスコン。”

とかみたいなアニメのような台詞を言われてしまうだろう。

考えるだけで俺は背筋が寒くなった。

一応この事を有栖に伝えようと思い呼び止めようとする。


大丈夫………きっと有栖ならわかってくれる。


大丈夫……………。


ちょうど俺が呼ぼうとすると同時に有栖が振り向いてきた。


(ナイスタイミングぅぅ!!)


俺は言葉を発しようとする。



………………………………。



だが遅かった。




有栖の口が開く。


そして照れながら爆弾発言を投下してゆく。


・・・・・

「お兄ちゃん!頑張って来るね!!」


(おぃぃぃぃぃぃぃ………。)


「お、おう…頑張れよ。」


「うん…!またね〜」


……………………………。



周りからの視線が痛い。



俺の高校生活………終了。



でも最後に見せてくれた有栖の笑顔……かわいかった。

あれをみたら…………許せないものなんて無いんだよな!




妹に甘すぎる俺であった。





ーーーーーーーーーー



お読み頂きありがとうございます!

今回も楽しさ全開で書かせて頂きました。

やはり妹はかわいい!!

明日の更新は本格的に学校編なのでどうぞお楽しみに!

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