第5話 アプローチ

ー放課後ー


走るのが嫌いな俺だが今は致し方ない。

少し小走りで校門まで向かった。


辺りに人の姿は見当たらず、どうやら早く来すぎた様だ。何もする事もなく俺はスマホを取り出し眺めていると、突然視界が暗くなった。


「だぁ〜れだあ?」


小さな手で俺の視界は覆われていた。

そして背後からふわふわした可愛らしい声が聞こえてくる。


俺はその手をクンクンして…。


「有栖かな…!」

「正解…………でも手とか嗅がないでよおお…」


有栖はプイっと首を降ってご機嫌ななめである。

そんな有栖に俺はイタズラしてみる。


俺の秘伝奥義………こちょこちょだ。


「ふぇ……。く、くしゅぐったいよお兄ちゃーん!!」


有栖はなんとも情けない声ではしゃいでいる。

有栖がギブアップのポーズを示してるので俺は手を止める。


「も、もう………。」



帰ろう…と思い俺が歩みだそうとすると有栖が俺に左手を差し出してきた。


「手………繋ぎたい……の」


俺は思わず表情が緩む。

そのまま有栖の左手に俺は右手を重ね絡める。


俺は今、妹と”恋人繋ぎ”というものをしている。

朝は普通に繋いでただけに今回のはもう言葉に表せないぐらいの凄みがあった。

恋人繋ぎっていうのはただの自己満の世界だと思っていたがまさかここまで相手との距離を近く感じれるとは………。


”恋人繋ぎ”最高!!


普通に帰ろうとも思ったが通学路の途中で大きなショッピングモールを抜けることを思い出した。俺は勇気を振り絞って言葉を発する。

(※相手は妹)


「「あ、あの!!」」


まさかの同時だった。

どうやら有栖も俺に言いたい事があったらしい。なんだろう。

まさか俺と同じだったり……………………なんてね。

俺は有栖から先どうぞ、と会釈すると

有栖は”ゴホンッ”と咳払いをし、俺に1歩近づき問うてきた。


「お兄ちゃん……こ、これからちょっと時間ある…??」

「いや特に予定はないよ。」


まさか………。

俺は期待に胸を膨らませる。

すると有栖が笑顔になって


「よかった……!

ショッピングモールに新しいクレープ屋さんが出来たんだって!一緒にいこー!!」


(きたぁぁぁあ!!)


俺は心の中で泣いて喜んだ。


「いいね!俺も気になってたし。」

「決まりだね!やったぁ〜」


喜ぶ有栖の顔は本当に絵になる。

そしてそれを額縁に入れて飾りたいぐらいだ。

そしていつか有栖美術館でも作りたいな。


それこそが俺の将来の夢かもしれないな!


妹の事になると俺は知能が限りなく低くなるようだ。でもこの時間はとても楽しいし今の俺にとっては生きがいですらあった。


そんなことを考えているうちにショッピングモールの入口に着いた。



これから……有栖と“初デート”だな。


俺は期待に胸を踊らせながら建物の中に入っていった。



ーーーーーーーーーー


閲覧頂きありがとうございます。

やはり有栖はかわいいですね。

妹という存在を私は至高に感じます。

いつか有栖のイラストとかみたいですね(笑)


さて次はいよいよ義妹デートです!

お楽しみに!!


以上あとがきでした。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る