第7話 義妹デート (始)

ーショッピングモールー


ここは俺とは無縁の地と思っていた。

クラスの”陽キャラ”という男女らが楽しそうに中に入ってゆくのを良く見かけていた。


楽しそうだな…。


そう思ってはいたが俺には友達という友達がいない。加えて女子の友達なんているはずがない。桃井という話せるやつはいるが誘う理由がない。だから誘うことはない。そういう意味でもおれは少し冷めているのかもしれないな。


しかしだ。


俺は今ショッピングという異世界にいる!!

しかも隣には絶世の美少女!!(※妹)


俺の手は温かく繋がれたままショッピングモール内を周遊する。どうやら今日はいつにも増して視線を集めているらしい。


(ふ、ふ、ふ…

どうだかわいいだろう、俺の妹は!

ふははははは!!)


そうこうしているうちにクレープ屋の前に着いた。でかでかと”デザート玉国”と書いてある。メニューは豊富でどれにしようかついつい迷ってしまう。


「うぅ……どうしよぅ……迷うねぇ。」

「有栖の好きなのでいいからな〜」

「ぅーん……私は”バナナチョコスペシャル”と”ラブリースペシャル”で悩んでいる……。」

「じゃあその2つにするか。」

「え……いいの?」

「有栖が食べたいの食べた方がいいじゃん!食べ比べとかすればいいと思うし。」

「ふぇ!?た…たべくりゃべ……。うん!(私も食べ比べしたいし……)」


有栖は食べ比べという言葉に反応したのか顔が真っ赤である。相変わらずかわいいのだ。

最後に何言ったかはよく聞こえなかったがまぁ有栖が承諾したようだったので俺は注文に移る。


クレープがきた。


”バナナチョコスペシャル”はバナナに何種類かのチョコクリームが混ざって入っており、とても楽しめそうな感じだ。

”ラブリースペシャル”はとにかく”ラブ”の主張が強い。ハート型のチョコレートにラズベリーソースが満遍なくかかっている印象だ。


有栖は”ラブリースペシャル”の方を取ったので俺は”バナナチョコスペシャル”の方をもらいいただいた。


なんだこれは!とても美味しい!!

何層かに分かれているチョコレートクリームがそれぞれ違った酸味や甘味を出しているのか。。


気が付くとあっという間に半分ほどなくなっていた。そろそろ有栖と食べ比べしようかな。と有栖の方を振り向こうとすると既に有栖はこちらを向いていた。


そして…。


「あ、あの………。あ、あぁーーん」


有栖が頬を真っ赤に染め、恥ずかしさ全開でクレープを俺の口の前に出してくる。

俺は有栖をチラ見してから有栖のラブリーをいただいた。こちらはベリー酸味とチョコの甘味が絶妙にマッチしていてとても美味しかった。

(有栖の口付けということもあり、”美味しさ倍増!”というのは秘密である。)


有栖は俺が食べている姿をみて幸せそうに微笑んでいる。俺が食べ終わると有栖は落ち着かない様子でこちらを見ている。


なるほど。


俺は察してバナナを有栖に向けた。


有栖はそこにがぶり付く。


俺のバナナを堪能した有栖はご機嫌のようだ。


クレープを食べ終えて、支度を済ませていると館内放送が流れてきた。


「お客様にご連絡致します。ただいま雨がとても強くなっております。帰る際はどうかお気を付けて。またのご来店をお待ちしております。♪」


その放送を聞き外に出てみると、想像よりはるかに強めの雨が俺たちを待っていた。


まじか……。


俺は有栖を見る。

すると有栖は俺を見ていた。


目が合う。


「「どうする!?」」


また同時だった。

デジャブって俺たちは失笑した。

そして離れていた手をまた繋ぐ。


どうやら俺と有栖の初デートはまだまだ続くようだ。



ーーーーーーーーーー



ありがとうございました!

とうとう6話ですよ!びっくりですね。

今後の2人の関係に注目ですね。

明日は義妹デート後編です!

お楽しみに。


こないだ日間58位入ってました!!

私にとってはとても嬉しすぎて涙が出ました(笑)


これからも頑張って行くのでよろしくお願いいたします。


長くなりましたが以上あとがきでした。

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