第2話 言葉
4月6日、快晴。
この日は久しぶりの登校日。
俺は高校2年生の春を迎えようとしていた。
俺の通う学校は少し特殊で1日の間に始業式と入学式が一緒に行われる。
何故かはわからないが教育課程上そちらの方が楽らしい。
全く、初日から丸1日くらう生徒の身にもなって欲しいものだ。
改めてだが俺は頭がいい。
学校のテストではほぼ100点。高校入試の時もほぼ満点回答だった。だが俺が通う水の江高校(水高)は偏差値が52ぐらいの平凡校。これは俺からの父親への恩返しのつもりだ。水高は俺の家から徒歩で行ける。つまりとても近いのだ。みなもご存知だろうが電車通学となると料金もそれなりに行く。だから俺は迷わず水高を受験した。
結果は合格。
しかも水高開校以来初の450点超え合格者。
俺は1年生徒内で時の人だった。
まぁ勉強しか取り柄がないからモテることはなかったのだがな…。
朝
俺は頭上から聞こえてくるかわいい声で目を覚ます。
「お兄ちゃんおはよ〜」
「おう、おはよう有栖。」
あぁ、かわいい。
なんで妹ってこんなにもかわいいのだろうか。
もうこれ罪レベル。
そう思考しながら俺は有栖の頭を撫でる。
「も、もう…お兄ちゃん寝ぼけてるの…。」
有栖は頬を赤くしながら上目遣いでこちらを見てくる。
俺はこのコンボに耐えれそうにない…。
その美貌に浸っていると下から声が聞こえた。
「有栖ー、楓夏ー、ご飯よー!」
「「はーい」」
夕菜さんが楓夏と呼び捨てで呼んでくれるので俺も夕菜さんのことをお母さんと呼ぶことにした。
「お母さんお待たせー」
「もう……お兄ちゃん早起きしてよね……」
「はは、ごめんって」
「べ、別に怒ってないし……。」
お母さんは義妹のやり取りをにこやかに眺めている。俺はその視線が少しこそばゆがった。
朝食を食べ終え、支度を済ませ、学校へ向かう。
有栖の今年から高校生で俺と同じ学校に通うため、道案内も兼ねて一緒に登校する。
有栖は元気よく戸を開けて母を見る。
俺もお母さんに視線を向ける。
「「行ってきます!」」
「行ってらっしゃい〜!」
義隆は朝が早く”行ってらっしゃい“と俺は言われたことがなかった。
1度は言われて見たかったその言葉。
それが今叶った。
小さなことだと思うが俺は心が温まるのを感じた。
すると有栖が俺の手を握って来た。
「学校行くまで………ダメ?」
俺は照れながら小さく頷く。
有栖は微笑み歩き出した。
この時の俺は幸せに溢れていた。
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2話までお読み頂きありがとうございます。
やはり妹はかわいいですね!
皆さんの理想の妹がかけるようにこれからも頑張っていきたいと思います。
そしてなんとなんとこの作品。
日間72位と私投稿して初めて100位以内に入れて嬉しく思っております。
第3話からはとうとう水の江高校編です。
ここからが私が書きたかった場所なので是非!
以上あとがきでした。
※振り仮名の振り忘れ失礼しました。
水の江は”みずのえ“と読みます。
水高で”すいこう“と読みます。
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