第20話 思い出の味

しばらく青空を感じ固まっていた俺だが突然として硬直がとかれる。


「ほらほら、時間は有限!行くよ!!」


何と春乃が俺の手を大胆にも握ってきた。少し顔が赤い気がするがまぁ気のせいだろう。俺は春乃の手に体をあずけて進む。


しばらく歩くとこじんまりとしたカフェが1件前に立っていた。そこは少し大人の雰囲気を感じるがシックすぎるわけでもなく、俺たちでも入りやすそうな場所だった。


「お昼まだでしょ?入ろ!」

「おう!」


そういえばご飯がまだだった事に今気づく。時刻は1時半と決して遅すぎるわけでもないが今の俺はどうやら満たされていたようだ。理由はわからないが………。


お腹の方はそんなに空腹という訳でもなく、程よい感じだったので、カフェで丁度いい。などと考えていたが鼻に漂うジューシーな香りが俺のお腹を空かしてくれる。


「ここのガーリックライス、絶品なんだからっ!食べないとそんだよ!」


春乃は可愛げにウインクしながらどうだ?みたいに胸を張っている。だが胸の成長が乏しいので興奮するというのが特になく安心だ。そこの面的には男友達に近いのかもしれないな。


俺は小さく微笑していると春乃は頬をむぅーっとさせ、俺のことをみる。


「フーちゃ……楓夏変なこと想像してない?」


「べ、別にしてねぇーよ。」


急に名前で呼ぶなよ。ドキッとしちゃうじゃんか。


「やっぱ考えてるでしょー、もーー。」


そりゃ………俺も男だからね……。


また何か言われると思って準備していたが春乃は自分の前で両手を叩く。


「はいっ!この話もう終わり!それより頼んじゃおーか。」


これ以上は追求されないらしい。俺はそっと胸を撫で下ろす。


注文を頼んで15分後、お皿いっぱいに盛られたガーリックライスが俺たちの前に姿を現す。色はいい感じに茶色くなり、香ばしいいい匂いが漂う。


食べようと手を伸ばすと店員がまた来た。

「お待たせしましたーカップル限定!ツインシュリンプで〜す!」


え??


「ありがとうございます〜!わぁ美味しそう!!」


とうの春乃はとても楽しそうにシュリンプとにらめっこをしている。まぁ、春乃がいいならいいか。俺は割り切り彼氏役に徹することにした。




結果的にとても美味しかった。ガーリックライスは想像以上に香ばしく旨みがたっぷりであった。ツインシュリンプもカップルの設定なのかふたつのエビがくっついてあげられており可愛くオシャレ。そしてプリプリで甘いと来れば女子にはたまらないことだろう。実際俺も食べてみて美味すぎたし、、。


「ありがとうな…めっちゃ美味しかった!」


食べ終わった春乃をみて俺が口を開く。


「うんうん、私も美味しかった!シュリンプは初めて食べたけどやっぱ美味しいね!!」

「あぁ、また来たいな!」


即答が帰って来ると思ったが春乃の顔に光がない、俺はそれが少し気になった。


「春乃?」


「……ん、何かな?」


「その………大丈夫か?」


「大丈夫……うん。」


「うんうん…………」


「大丈夫なわけないじゃん!!」


突然春乃の声量が増す。

幸い時間が2時過ぎなので他のお客さんはいないが店の人達は驚く様子でこちらをながめる。


俺は今彼氏だ。役だが。

ただ、役というのは全うしてこそ役であろう。

俺は言葉をかけようとしたが、春乃の一言で遮られる。


「私………転校するの…。」


俺は反応したかった。

何かを言ってやりたかった。

でもその言葉の数々は喉底から出てはこなかった。



ーーーーーーーーーーー


皆さんお久しぶりです。唯月莉奈です。

最近更新が遅れ気味で申し訳ないです。

ノートにも先日記載しましたが私は学生の身でして今年受験ということも重なり毎日投稿が難しくなってきました。楽しみにしている皆様には申し訳ございませんがご理解のほど宜しくお願いします。


さて、本編ではここから後半戦となります。

今までお付き合いありがとうございます!

これからも宜しくお願いします!!


長くなりましたがあとがきでした。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る