第4話 俺は妹しかみえない!!

俺は有栖と別れた後重い足取りで階段を上る。すれ違う人々が俺をみるとクスクスと笑っている。


………………


シスコンってそんなおかしいか?


俺はあくまで冷静だ。だが思考は吹っ飛んでいるようだった。

妹に毎朝起こされたい!

妹と一緒にご飯を食べたい!

妹と一緒に登校したい!


……妹と一緒に手を繋ぎたいっ!!


ほら、やはり普通ではないか。

そう考えると周りの視線がアホらしく感じ軽い足取りで教室に向かった。


俺は浮かれたまま教室のドアを思いっきり開ける。

「おはよ〜」

”朝教室に入る時にはおはようと言いましょう。“

という謎の週間があるので俺も適当に言っていた。

だが今の俺は俺であって俺ではなかった。

妹との手繋ぎ登校が出来たという嬉しさで全身高ぶっていた俺はキャラでもない大きな声を発してしまっていた。


「………………………」


周りは静まり返っていた。

その沈黙に気付く前に俺は肩をポンポンと叩かれた。

振るかえるとそこには俺の唯一の女友達がいた。


「朝から熱々でしたね〜フーちゃんはシスコンでしたか〜!」

「ふ、よくわかったな!俺はシスコンだっ!

あとフーちゃんって言うのやめろ桃井。」


俺の声量は過去最大だったかもしれない。

周りの目が俺を汚物のように眺めている。

だが俺は今桃井しか見ていないのでわからない。


「なんという恥じらいのなさ……!

えーいいじゃーん。あと私のことは春乃って呼んでって言ってるでしょー!」


紹介が遅れたがこいつの名前は桃井 春乃(ももい はるの)。俺とは1年の頃からの付き合いでクラスのムードメーカー的存在だ。顔立ちも整っていて欠点といえば馬鹿なところぐらいだ。だからなのか正反対の存在の俺と彼女は馬が合う。


「わぁーたよ。 ………………春乃。」

「……………うん。」


春乃は俺に名前を呼ばれると顔が真っ赤に染まり全開のかわいさを出していた。

周囲からの殺気も同時に感じ俺は肩身が狭くなる。


「やっぱなし。桃井で。」

「えぇーーー!………も、もう、わかったわよ〜」


桃井は小さく手を振ってそのままどこかへ行ってしまった。俺も特に用事もなかったので席へ向かう。

周りの視線が少しまだ気になるが無視だ。

それよりも俺にはやることがある気がした。そう思いスマホを取り出しMINEを開く。そこから有栖を探しルームを開く。


「今日一緒に帰ろうなー」


俺は無意識に送っていた。

もう重度のシスコンである。

授業中のノートに有栖と1日10回ぐらい書いてしまうぐらいだ。

そして昼頃俺のスマホが震えた。


有栖がスタンプを送信しました。


(スタンプきたぁぁぁ!!)


俺は1人でガッツポーズして見せた。

そのスタンプにはOKと書いてあった。

俺は嬉しくなり上機嫌で残りの授業を受けた。



ホームルームが終わると俺はスキップするかのように足取りを踊らせ妹の元に向かった。


この時既にクラスで俺の立ち位置がどうなっているのかなんて、俺は考えてすらいなかった。



ーーーーーーーーーー


読んで頂きありがとうございます。

今日も投稿出来て一安心と言ったところです。

今日は新キャラの女の子が出てきましたね。

これからこの女の子がどう兄妹に関わっていくのか………。

注目ですね。


以上あとがきでした。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る