第13話 桃井春乃との出会い
桃井の居なくなった屋上俺はそのまま仰向けに寝転がり空を見上げる。青空の中に春雲がポツンとある。それを眺めていると懐かしい記憶が目の前に浮かんできた。
それは1年前。
最初の考査が終了した時の出来事だった。
コミュニケーションの苦手な俺はクラスで未だに友達と呼べるほどの人がいなかった。いても廊下であったら”よっ!”っと軽く言葉を交わすよっ友ぐらいであった。
そんな環境化で望んだテスト。周りの誘惑がなかった為か、勉強量が普段より増え俺はかなりの手応えを感じていた。
結果は校内1位。
張り出された紙を観て俺は小さくガッツポーズをした。得点は全7科目700点満点中の687点。
”スゴすぎる”、”え、やば!!”
そんな声が俺の点数を見て飛び交っている。
まぁ2位の人が634点と約50点差を離しての1位となれば話題になるのも当然か。
俺は少しばかり気恥づかしくなったのでその場を去ろうとする。
その時だった。
「君が2位の神田楓夏くんかな?」
「そうだけど?」
誰だこの人は?
綺麗な人だな……俺に何の用だろう。
それになんで2位??
「やっぱそうか〜!!」
「私は桃井春乃!学年1位の女の子だよ!よろしくね優等生くん!!」
ん?………ん??
今なんて……?
俺が疑問をぶつけようとすると、彼女は”待て待て”と手を出し、そのまま万遍の笑みで俺に解答用紙を見せてきた。
それはそれはとても綺麗な解答用紙だった。
書いてあるのなんて自分の名前ぐらいだ。
「え、もしかして……」
「うん!下から数えて1番だよ!」
何故か”どんなもんだ!”と鼻を高くしている彼女をみてて俺は頭が少しばかり痛くなった。
「でさ1位同士お願いがあるんだけど……」
「うん……何?」
お願い……?
まさか………いやまさかね。
「これから勉強教えて欲しいの!」
そのまさかだったあああ!
でも桃井さんは学校でも指折りの美少女、大衆がみている前で断る訳にはいかない…。何より断る理由がなかった。
「いいよ。これからよろしくね。」
「うんありがとう!!」
その時次の授業を知らせるチャイムがなり、彼女は慌ててその場を離れていった。
これが俺こと神田楓夏が高校で初めて友達という友達ができた瞬間だった。
そこからの1年間は充実していた。桃井とは今ではパンツをいい合えるぐらい仲良くなった。
桃井自身も俺が勉強の面倒を見ていることもあり学年280人中100位以内に入れるようになるぐらい更生していた。
色々思考しているとチャイムがなった。次の授業の知らせるチャイムはいつもより早く感じ、時間の経過を感じさせた。
俺は少し重たい腰をあげて屋上を後にする。
次の授業はLHRだ。
重大発表があるとのことなので俺は期待に胸を膨らませ階段を下っていった。
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