第16話
あの後二人は長いこと揉めていたんだけど、最終的に冴織さんが折れて、当初の予定だった俺と神杉くん、愛華さんの3人に2人が混ざって、合計5人で日曜日カラオケに行くことになった。
12時に現地で集合することになっているので、俺もそろそろ家を出ようと靴を履き鞄を担ぐ。
「お、水上君来たね」
「こんにちは勇斗君。今日楽しみだね」
そういう彼女は髪の毛はサラサラで、白のワンピースと可愛らしい感じでとても似合っており、きっと時間をかけているんだろうなぁと感じた。きっとそれだけカラオケが楽しみだったんだろう。
「あ! お〜い」
「ちょっと、こんな街中で大声出さないでよ」
俺が集合場所についてすぐに2人が到着した。燈は桃色のワンピース、冴織さんは長めのスカートと黒のストッキングを着ていた。
こう見ると、愛華も含めて、3人とも相当美人だと思う。実際この状況が羨ましいと思う男子生徒も多いことだろう。
だが俺の場合は、なんだか場違い感が否めないと感じていた。俺のせいでムードが台無しになってしまったらどうしよう。普段は普通に喋れるのに、団体でいるとこう思ってしまうのは俺が実際は生粋の陰キャラであるからだ。近頃はだいぶ砕けた物言いができるようになってきたと思っているが、きっとまだまだなのだろう。
「それじゃあ中に入ろっか」
「 行こ! 愛華ちゃん」
「うん! 燈ちゃん」
「……? もしかして愛華と燈って初対面じゃないの?」
「初対面だよ?」
「それがどうしたの勇斗君」
「あ、いやなんでも........そう、なんだ」
「貴方が落ち込む必要はないと思うわ。あの子たちが異常なだけよ」
「そうだね」
「ちょっと冴織、異常ってどういうこと?」
「神杉も共感してたみたいだけど?」
初対面でいきなりあそこまで人は仲良くなれるのか? 二人ともほんとにすごいな。俺は改めて彼女らの凄さを思い知らされた。
それとしれっと神杉君と冴織さんも息ぴったりな気が…………
「意外と狭いな」
「元々カラオケってそう言うものだし、密になりやすい所なんだ」
「そんな事より早く歌おうよ!」
真っ先にそういったのは何気に1番楽しみにしていそうな燈。すぐさま選曲するタッチパネルを取って曲を入れている。
「とりあえず初めは1人1曲ずつで」
そんなことを言っている間に一曲目が流れてきた。
「これ最近有名なアイドルグループの奴だぁ!」
「そう。私結構好きなんだよね」
「へぇ~俺は初めて聞くかな」
『ホントに? 』
「ほんとほんと。それにこんなことで嘘つく理由はないだろ」
「まぁそりゃそうだよね」
「燈ちゃん、もうそろそろ歌いだし来るよ」
「うん!」
五分後
「どう、だったかな?」
「.............凄!」
「うん。一瞬本物アイドルみたいに見えたよ」
「それは言い過ぎだよ〜」
満更でもなさそうだったけど、冗談抜きで彼女の歌はうまかった。正直友達とカラオケに来るのは初めてで、俺は凄く楽しみにしていたのだが、俺は不覚にもこの後には歌いたくないなと思ってしまった。
「いや〜燈さん凄く上手だね。次俺なんだけど参ったなぁ〜」
2番手は神杉くん。意外にもロック系が好きだったらしく、俺も知っている有名バンドの曲を歌っていた。
神杉くんもやっぱり上手で、最後に曲を入れてしまったことが本当に悔やまれる。
「じゃあ次は私ね」
3番手は冴織さん。何を歌うのかなと思ったら、
「マジか」
「冴織さんも…………凄いね」
曲は知らなかったが、歌詞が全部英語だった。発音も完璧で、尚且つ声も透き通るような声で美しかった。
皆歌うますぎないか?
「じゃあ次は水上君だね」
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