第14話
図書室を出た僕達は、一緒に帰ることになった。最近の話もしていたが、盛り上がっていたのは何故か中学の頃の模試の話。
「えぇ! 水上君あの模試で1位取ってたの?」
「ああ。………………まぁ結構ギリギリだったんだけど」
「なんで分かるの?」
「え、あ、いやなんでもない」
その模試で2位だったのが冴織さんで、彼女から聞いたんだ、とは言えない。俺の話だけならば既に1年ほど前のことになるので神杉君達には言っても差し支えないだろう。(超がつくぐらいガリ勉だったからすんなりと納得されそうだし)
「私は確か真ん中ぐらいだったわ。レベル違うなぁ〜」
「僕はギリギリ2桁だったと思うよ」
「へぇーやっぱ神杉君も頭いいんだね」
「……全国模試1位にそう言われるなんて光栄だよ。でもなんだか面白いよね」
「何が?」
「だって僕より水上君の方が凄かったのに、みんな僕ばっかりで、水上君のことなんて誰も知らなかったんだからね」
「ちょっと神杉! 誰も知らなかったとか水上君に失礼でしょ!」
「あ、ごめん。そういう意味で言ったわけじゃないんだ」
「分かってるよ。それに実際高校に入ってからは、自分も悪かったってことに気づいたから」
「水上君が?」
「ああ。暗い感じで誰も寄せ付けなかったのは他でもない俺自身のせいだし、なんなら少し見下していたんだから。そんな事しか考えられないのかコイツらは、みたいに」
2人は俺の話を相槌を入れながら聞いてくれている。
「だから仕方なかったんだ。俺だってそんな奴とは仲良くなりたくないし」
「そっか。色々あったんだね」
「まぁね」
「でもわ、私、水上君凄くかっこよくてその……いいと思うよ」
「俺が? いやいや、そんなことは無いよ」
(いつもながら皆お世辞が下手だなぁ)
「…………」
「あ、愛華。さっきの発言からもそうだけど、水上君は滅茶苦茶鈍感だから気をつけた方がいいよ。」
「え? 今なんか言った?」
「……そうみたいだね。でも……大丈夫」
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