第4話 ■職員室(放課後)

放課後の職員室の女性教員たちは、朝礼の時よりも不安そうな表情で、それでも各々は平静を装い授業準備を進めている。


「お疲れ様、そっちのクラスどんな感じにしたんだよ?」

席に着くなり藤木先生がニヤつきながら声をかけてきた。

「ま、まぁ。指導に従わないと罰則を強化する旨を生徒にはお伝えしましたよ」

僕は冷静なふりをして答えながらも、生徒から奪った下着をトイレで楽しんだ背徳感と、のぞいた女子生徒の表情を思い出し興奮と罪悪感を入り交えながら答えると。

「へー、お前らしいな。」と藤木は不適に笑い「快感だったなぁ~。普段は生意気だった3年のあの女どもが、あんなにもコロッと言うこと聞くとは思わなかったわ。次は何させようかなぁ~」

藤木の、躊躇いも無く自分の心内を他人に晒せるスキルには脱帽する思いで

「いやいや藤木先生、ここはあくまでも教育の現場ですよー。まぁ、気持ちはわからなくもないですが、あまり私情を挟まないように、それに彼女たちには進路があるでしょ?我々は彼女達の良い進路に導く為に指導をしているということを、忘れたくは無いですね。」

我ながら、よくもまぁこんなセリフを言えたものだ。

自らの感情を棚にあげ、他人の行いを意識し、批判することでしか、自分を演じれなかった。

「相変わらず真面目ですね~、でも…彼女たちは次の進路があるからこそ!指導はしっかりしなきゃいけないということでしょ?わかってるってー」

藤木が僕の肩を小突いたとき、職員室に併設された応接室の扉が勢いよく開き、家庭科の滝川先生が涙目になりながら小走りで洗面台にかけより、うがいを繰り返していた。

その様子とは裏腹な満足げな表情を浮かべて、応接室から出てきたのは、教頭だった。

教頭の馬鹿正直な表情と滝川先生の動作をみると、部屋の中で何が起こっていたかは、職員室中の誰もが容易に想像することができたが、誰一人としてそれに干渉しようとするものは居なかった。

そして教頭はゆっくりと口を開いた

「えー、皆さん!お忙しいところすみません。今後の我が校としての方針などについてを発表したく思いますので、お時間を少々いただきたく思います。えー。特に男性教員の皆さん!私たち教師は指導者として生徒の手本となるようにしなければなりません。男尊女卑法というのは政府の意向でございます。みなさまの私情の中にはそれこそ罪悪感のあるかたもいらっしゃるかもいたしませんが、ここは何卒生徒の見本となれるように振舞っていただきたいです!えー、そこでですね。私のほうから一つ提案がございます。それは今この場で男性教員と女性教員の立場をはっきりさせるのと同時に、それを我が校の生徒たちへも見せつけることによって、模範的な行動となるのでは無いかと思います。しかし!一方で、女性教員の皆様の気持ちはどうでしょう?いきなりこのようなことを求められても、完璧に応じれない方々もたくさんいらっしゃると思うので、一定期間の間は、研修とは少し違うのですが、普段の日常業務の中に調教を取り入れていく。というのはいかがでしょうか?賛成される方は拍手をしてください。」

教頭の長いスピーチが終わると、男性教員からは拍手が巻き起こった。

女性教員も驚きを見せていたが、同調圧力に負けたのか諦めたのか、力のない拍手の形を見せていた。

「では、皆様から賛同を得たということですので、ただいまより女性教員の皆様は男性教員様に調教していただきます。ですので今日から男性教員との立場もより明確に理解するようにしてください。では、せっかくですので一人ずつ挨拶と軽い自己紹介でもしてもらいましょうかね。まずは誰から、、、おっ。では安藤先生。どうぞこちらへ」


自ら率先して手を挙げたのは安藤先生だった。この女は案外M気質があるのかも知れない。


「ぁ、はいっ!安藤茉莉 25歳ですっ!本日より男性教員の皆様に、ちょ、、調教していただくことになりましたっ!よろしくお願いします!!」

安藤先生としては恥じらうこと自体が恥と考えているのか、恥じらった様子を必死に隠そうとしてたが、その行為はかえって羞恥心を増やしているようにも思えた。

「このような挨拶では、男性教員と女性教員の明確な立場が見えにくいですね。そこで、どうでしょう、尻字で自分の名前を書いてみんなに覚えてもらうというのは?」

教頭の変態すぎる提案に一部の男性教員がザワめき、勿論藤木はニヤニヤしていた。

「わ、、わかりました。。」しぶしぶ承知した様子の安藤先生は、皆に背を向けたと思うとお尻を突き出し、今朝自ら捲し上げたスカートをなびかせながら「先ほどは失礼いたしました。。」というとクネクネと腰を振り出したが、膝はガクガクと震え今にも泣きだしそうだった。

「はーい、ではこれを来週の全校集会でも行ってもらいますからね。良しとしましょう!」教頭はそう言い終わると同時に安藤先生の尻を思いっきり叩き、ペシンッ!という乾いた音が職員室に響くと安藤先生は

「ぁ、、ありがとうございました。。」と望んでは言ってないであろうお礼の言葉を残して自らの席に戻った。

教頭は椅子に座ろうとする安藤先生を静止し

「あ、安藤先生は自分の椅子に座らず椅子の下に座ってくださいねー。じゃあ次はー?黒崎先生いいですか?」

今朝、下着の色を偽っていた黒崎先生がゆっくりと皆の前に立った。黒崎先生はあえて感情を見せないようにしているのか、怒ることも恥じらうことも忘れたように無表情で

「黒崎伽耶

カヤ

。。32歳。。改めてよろしくもうしあげます。。失礼いたします。。」

淡々を短い言葉を述べた黒崎先生も皆の前に尻をつきだし「くろさき」と尻字を書いた。

「黒崎先生ありがとうございました。ところで黒崎先生は今朝藤木先生達の前で下着の色を偽りましたね?それについての謝罪はどうしましょうか?」

「くっ。。今朝は大変、、申し訳ございませんでした。。」やる気のない謝罪に教頭はしびれを切らしたのか、黒崎先生の髪の毛を後ろからガッと掴んだかと思うと、今までに聞いたことのない教頭の怒鳴り声が職員室に響き渡った

「ちゃんと謝罪しろよ!!いいですか黒崎先生、これは遊びじゃないんですよ?それに我々は生徒の手本となるべき存在なんです!そんな甘ったるい謝罪しか出来ない教員がどこにいますか!!??」

その怒鳴り声を聞いた安藤先生は床に正座しブルブル震えて怯えてるようだった。

黒崎先生も驚いてしまったのか、怒鳴られた瞬間ボロボロと涙を流しながら、その場にひざまずき皆に謝罪した。

「今朝は、、下着の色を、、うっ、、ううっ。。。」

「泣いて許されるのは子供までですよ黒崎先生?」必死に謝罪しようとする黒崎先生に追い打ちをかけるように藤木は声をかけた。

「ううっ。。はいっ。。。す、、すみません。。ぐすんっ、、えっと。。私は、、、今朝の下着の色を、、、、偽ってしまい。。。大変失礼なことを致しました。。どうかお許しくださいっ。。。!!」

黒崎先生は見事なまでの謝罪をみんなの前で披露した。さすがの教頭も

「はい!立派な謝罪でした!この調子で全校集会でも、皆の手本となるような謝罪をお願いしますね。」

「はっ、、はいっ」黒崎先生は教頭に言われなくても、椅子に座らず床に座ったことから、確実に彼女の意識が変わってきていることを実感した。

「ではー、最後ですねー。滝川先生?いいですか?」

先ほど応接室から出てきた時の表情とは一変して笑顔を見せていた。

「はいっ。。」ほかの二人と同様に皆の前に立つと、彼女は驚くことにゆっくりとスカートをたくし上げ、純白のフルバックであろう下着を皆の前に晒し「わたくし、滝川安奈、29歳は男性様との格差を理解し、この学校をよりよくしていくために努めたいと思います。。」

この様子だとどうやら滝川先生は応接室で相当躾けられたようにも思えた。彼女も他の女性教員と同じようにお尻をこちらに向けるが、スカートは捲られたままで、フルバックの光沢のある白がまぶしく視界に映った。

「滝川先生、Tでお願いできますか?」教頭が口を開くと、滝川先生は捲り上げたスカートを片手で抑えながら、もう一つの手で自らの下着をTバックになるように食い込ませたのだった。これにはさすがに職員室の男性教員一同の驚きや歓喜の声がもれた。

「はいっ、、失礼いたします。」

男性教員の目線が全て滝川先生のお尻に集中していた。きっとすごい視線を感じながら尻字を書いていることだろう。

「あれ、毛でてない?」

「どこ?お、まじだ」

「お尻のニキビかわいーなー」などという羞恥心を撫でるような声が微かに、職員室に漂っていたが、滝川先生は尻字を書き終わると

「ぁ、、ありがとうございました。。。」ときっと本心では無いだろうお礼をして席に戻った。彼女も同じように床に座っていた。

「まー、非常勤の先生などでいらっしゃらない方もいますが、今挨拶を行っていただいた先生たちは、来週の全校集会でも同じ挨拶、いやそれ以上に素晴らしい挨拶を期待しています。では、皆さん!!頑張った彼女達に対して大きな拍手をお願いいたしますッ!!」

今日は珍しく教頭がたのもしくも見えた。スピーチが終わるとこれまで響いたことの無いような大拍手が巻き起こり、この拍手の音がこれからの日常の始まりを告げているようでもあり、今この場での男性教員の団結力は間違いなく、数時間前よりも数倍に高まっていた。

これが政府が男尊女卑法を薦めてきた理由かと思うと、この法案の必要性を今朝よりもはっきりと理解している自分がいた。

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