第3話 ■一年生用トイレ
■一年生女子トイレ
朝のホームルームが終わり、私は足早にトイレに向かった。教室の片隅で女子たちがヒソヒソと話していたのを聞いたからだ。
「3組、今日から鍵なしらしいよ」
「え、マジで?うちらも時間の問題じゃん」
恐れていたことが、とうとう現実になった。
トイレの個室のドアには、新しく貼られた張り紙があった。
『校内規定第28条:女子トイレ個室の施錠は禁止とする。教師は見回りの権限を有す』
私の手は震えていた。
“生徒の衛生と規律を保つため”というのが、学校側の建前だった。
でもそれが、誰かの視線や覗きに繋がるかもしれないという恐怖は、どうやっても拭えなかった。
先週、3組の先輩が体育の後に下着を没収されたと聞いた。汗がにじんだ制服のまま並ばされ、「校則違反の疑いあり」と記録されただけで。
女子だけが、羞恥に晒される。
私は便器に腰を下ろしながら、ドアの上部に設けられた監視スリットを見上げた。
「これが、普通なの?」
誰にも答えられない問いを、心の中で繰り返すしかなかった。
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