第2.5話 初めての謝罪
第二話の続きです。
「ちっ、、くだらねぇ…」
舌打ちをした今村の表情は苦かった。
これまでに彼女からされた仕打ちが走馬灯のように蘇ってきた。
授業妨害をされたことなんて数え切れない。
こいつのせいでどれだけの女子たちが調子に乗り
僕を呼び捨てで呼んだり、舐めた態度を取ってきただろう。
「おい、今仲、謝罪か退学処分だったらどっちがいいんだ?」
彼女の目の前に立った僕は、これまでに無いほど堂々とした態度で接することが出来た。
「は?」自分の立場をまだ理解してないのか、自分の立場を認めたく無いのか、これまで同様の態度をする今仲の顔を見た瞬間
「だから、今この場で謝罪するか退学になるかどっちがいいかって聞いてんの!!わかんないのか、そんなこともっ!!!」僕にしては珍しく、いや初めて生徒の前で声を荒げた
「はぁ!!??ふざけんなよっ!!こんなことしてタダで済むと思ってんのか!!クソがっ!!!!」感情的な僕の態度に、驚きで今仲も感情的な行動をとったのだろう。
理性も崩壊寸前なのにすら気づかない今仲が力任せに大きく手を振り上げた。
殴られる!と思った瞬間、後ろの席の優等生の高木が今仲の手を掴んだ。
「気持ちはわからないでも無いです。でもやめにしませんかっ?今仲さん…」彼女の声は勇気を振り絞って出したような、震える声で今仲を静止した。
「はっ?なんだよ!離せよ!!あんた、こんな時でも優等生ぶりたいの?そんなに先生が偉いのかよ!怖いのかよ!」
「今仲さん…悔しい気持ちは痛いほどわかります。私もこの法案には正直反対…。でも…ここで逆らえば逆らうほど私たち女子の状況は不利になるのよ、だからわかって。悔しいけど私たちは今日から男性には逆らえない運命になってしまったの。先生は偉いの、今の価値観では私たちより男性のほうが偉いの。私たちに出来ることはそれを少しづつ受け入れて順応していくことなの…順応できない生物は滅びていくことは歴史が教えてくれてる…」
「受け入れるわけないじゃない!!こんなやつに謝罪するなんて考えただけでも反吐が出そう!!あんたは平気でもね、私には考えられないわ!!」
「平気なわけないでしょっ!!」あんなにも高木の大きな声は初めて聞いたかも知れない。「あっ、大きな声だしてごめんね…。でも私たちが今考えなければいけないのは、目の前の男性の先生がどうしたら納得していだけるかということなの…。今仲さんは私より男子の友達いるし、きっとわかってると思うけど…。私だって諦めたわけじゃないの、私もこの法案を覆したい、だからこそ今ここで感情的になって事を運んでしまっていては私たちの思うようにもなりにくくなるの。それだけはわかって。偉そうなこと言ってごめんなさい、今仲さん。」
「わ、わかったわよ。謝ればいいんでしょ、謝れば…。先生…生意気いってごめんなさい。すみませんでした。これでいい?」
相変わらず今仲は自分の立場を理解しているとは思えないような謝罪の仕方だった。
それでも、これまでの彼女の態度に比べれば随分と更生したかのようにも思えたが、僕は今後のクラス運営のためにも、彼女達の教育のためにも妥協はしたくなかった。
「なぁ、高木。今仲への説得ありがとうな。だけどな、今の今仲の謝罪を見て高木はどう思う?先生は満足そうか?ん?」
「い、、いえ…。」
「だよな?では、どうしたら先生が満足できる謝罪ができるのかわかるか?おい!これは今仲と高木に限った話じゃないんだぞ、皆も将来的には男性に謝罪したり懇願する日が来るわけだ。そうなってから、今の今仲のような謝罪をしていたら、社会にも通用しない。誰かわかるものがいたら教えてやれ!」
しばらくの間クラスには静寂だけが残った。しばらくして高木が静かに口を開いた…。
「あの、先生…。間違ってたら、、恥ずかしいんですが…男性は…女性の…」
「高木も大人になる練習をしようか?男性じゃなくて、男性様、女性じゃなくて女とよぶほうが大人っぽくていいぞ」これは個人的主張というより、あくまでも国から提示された指導内容の一部に沿っているだけ。そう言い聞かせた。
「あ、はい…男性様は…お、、女の…下着が好きということをお聞きしたことがあるので、それを見せながら謝罪するのはいかがなものでしょうか…?」
漫画か何かで見たのだろうか?自分なりの精一杯の知識を披露した高木の顔は赤らんで恥じらいを隠せないでいた。
「確かに、男性はそのような傾向があります。さすが的確なご提案ですね。みんな拍手!」
僕が拍手を求めるとクラス内からはパチパチと音が鳴った。
その瞬間も今仲だけは手に拳を作っているところは見逃さなかった。
この拍手の音は、大半の女子生徒たちの本心では無かったかもしれないが、今仲を孤立へと追い込む音に違いはなかった。
これまで味方だと思っていたクラスの女子全員が高木の意見に賛同し、僕の合図に反応している証拠音だったからだ。
その間、今仲は黙って下を向いていた。
噛み締めた唇は小さく震えたが、それをごまかすように口を開けて大きく深呼吸を3回してから、自らの手でスカートを摘み、立ち上がりながらゆっくりとスカートを持ち上げた。
こちらを睨みつけるような今仲の瞳からは涙がこぼれそうになっていたが、視線を下ろすと、綿生地の白紺のボーダーのショーツが目に入った。
睨みつけた目とは対称的な幼さを感じさせるショーツは、よく見るとかなりくたびれていて、中学生時代から使用していたのではないかと想像してしまうほどだった
「もう、ゆるしてください…。ごめんなさいっ。すみませんでしたっ!」
数分前にはあれほど調子に乗り粋がってた彼女も今では涙を必死に堪えながらも、自らの手で下着を露出させ謝罪している。
この光景を目の当たりにしているクラスメイト達は一切の物音もたてないように黙って見守っていた。
これほどまでクラスの静寂を保てたことがあっただろうか。
「はい、そうですねー。じゃあ改めて前に来い今仲」これまでとは違った口調が緊張感を走らせた。
「はいっ…」さっきとは嘘のような返事だった。
「はーい、皆さん!お時間とらせましたが、改めて注目してくださーい。こちらが校則をおかした女子となります。皆さんも校則をおかすとこの女子のような惨めな扱いを受けるので気を付けましょうね。今日は法律が施行された初日ということもあるので大目に見てあげますが…それでもここまで時間を取らせた罰は必要だと思うので、三人は今日は学校内でのショーツ類の着用は禁止にします。これも違反したらどうなるかわかりますよね?」
一部の女子がざわざわしたが、咳払い一つで物音ひとつ無く静めることができた。
もしも昨日に、同じ発言をしていたら、ブーイングが起きても不思議では無かった。
「は…はぃ」三人の女子は、今にも消えそうな声で返事をした。
「聞こえないぞ?」
「はいっ!」
「じゃあ、今履いてるの脱げ!」
「えっ、あっ…はいっ!」
ようやく自分の置かれている状況が理解できたのか、加藤と佐々木は考えることをやめたのか言われるがままに静かにスカートの下に手を伸ばし、加藤のスカートからは白地に青の刺繍が入ったパンティが膝までおろされ、佐々木は薄紫の下着を床にストンと下ろした。
この間まで授業もろくに受けず、教師を見下していた女子生徒の下着がスカートから床へ落とされていく光景は、僕の常識や性癖を確実に変えていってることがわかった。
「えー。では、三人の下着は先生が責任をもって預かりたいと思います。」
三人はゆっくりと下着を足からほどくように脱ぎ、両手で僕に差し出した。
彼女たちの体温を残した生地は魅力的だった。精神的な場面だけでなく物理的な場面でも支配できた瞬間だった。
もっと欲を言えば彼女たちに性器までを晒させて自分との立場をわからせたかったが、他の生徒の目もあったし何より急いでやることでは無い。
「はーい、みんなもこうなりたくなかったら、いうこと聞きましょうね。返事は?」
「はいっ」クラス一同の揃った返事を聞いたのは久々だった。
「では、これからようやく本題に入れるわけですが、クラスの皆さんが混乱しないようにもルール作りをこれから少しづつしていきたいなと思ってます。今日は少しだけですが決めごとを紹介したいと思うので、ちゃんとメモするように。」
生徒たちがもぞもぞとカバンなどを漁りメモと筆記用具を取り出しるのを眺めながら続ける
「①先生への謝罪時はさっき今仲がやったようにスカートをまくって、謝罪すること。他の先生は他の先生のルールがあると思うので、各先生への謝罪方法を覚えること。
②健康維持管理のために生徒手帳には用を足した回数を記録することと、生理の記録と報告の義務を怠らないこと。
③いかなるときも先生の命令は拒めない。
この3つに決めたいと思います。いいかな?あ、もし反対の人がいたら今のうちに手をあげていってくださいねー?」
全ての女子生徒は必死に僕のいうことをメモし、反対しようとするものは居なかった。
初日にしては上出来なクラスのまとめかただったと我ながら思った。
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