第12話 ■適正検査結果

以前、彼女たちに提出させたアンケートの返却が行われた。

このアンケートの項目には様々な質問が書かれており、彼女たちの性格を知ることからはじまる。

それぞれのS気質、M気質、性癖などを見極めるために、国からの指導によって作成されたものであった。


そのため、この適性検査の回答結果では、忠誠心、耐久力、恥辱癖などの項目が一目でわかるようになっていた。

我々教員も、この回答結果を存分に活かして、彼女らの性癖の特性や性質を熟知し、個々にあった進路や社会における役割の方向性の向上をはかっている


このアンケートは、返却して終わるものでは無く。

国からのガイドラインでS気質の高いものは『指導委員』別名「調教委員」へ配属させることとされていた。

彼女たちには他の女子生徒よりも強い権限を与えられていて、学校生活における秩序を保つ役割を果たし、なおかつ他の女子生徒達の代表のような役割を与えられていた。

これは教師の負担軽減目的だけでは無く、他の女子生徒達を同級生が責任を持って管理させることでまとまりが生まれた。

役割を与えられた指導委員の彼女たちもプライドやアイデンティティを否定されることなく、教員との反発も生まれず、他の生徒の反抗心の抑制と、マゾ気質の高い同級生の躾役もなれた。



他にはM気質の高い者だけが選ばれる『奉仕委員』なるものもあった。

この中には模範的な学校生活を送る生徒も多く、普段から学校の行事などにも協力的で従順な者たちの名も多く連ねられていた。

この中でもマゾ気質の更に強い女子生徒は指導委員の金魚のフンになるものもいた。


そのほかにはこれまでの学校生活と同様に『美化委員』『放送委員』『体育委員』『図書委員』なるものもあり。SなのかMなのかはっきりしない生徒たちが振り分けられ、主に彼女たちは指導委員の目の下で活動することとなった。


僕は教団の前で一人一人の名前を読んだ。名前を呼ばれ取りに来たものにアンケートの結果と国からのガイドライン、学級委員についての説明が書かれた紙を彼女達に配った。

事前に彼女達のアンケート結果は既に目を通していたが、返却しながら彼女たちの癖を再確認した。

無表情で受け取るもの、照れ隠しなのかおどけて受け取る者、納得いかなさそうに受け取る者、様々なリアクションがあったが、特別大きな騒ぎは無く、大半の生徒は自分の置かれた委員会と立場に納得しているようにも思えた。


「はい!では、これについて質問のある人いますか?」

質問を求めても誰からの挙手も無かった。

不思議なことに、このような委員会への入会を全ての女子が受け止めていた。

僕が気にとめていた今仲と加藤は『指導委員』になり権力を得た。

今仲達と仲のよかった佐々木と優等生でいつも僕をフォローしてくれていた高木は『奉仕委員』へと決まった。

「えー、クラスの組織図としては指導委員が一番偉いというような構図にも見えますが、調教委…失礼、指導委員の活動は全て先生の許可がいるので、勝手にお仕置きなどふざけたことはしないように。そして、またそのような不正があった場合は、他の者も先生に伝えるように。それはたとえ指導委員であっても同じです。また他の委員へ志願するものは、一人で先生のもとへくること。いいですね?」

「はいっ」

30名の綺麗に揃った返事は、僕に安らぎに似た快感を与えた。


「では、この後は指導委員に選ばれた者のみ残ること、解散」


このような結果を言い渡されても誰一人文句を言わずに

「ありがとうございました」という彼女達の号令を聞き無言で部屋を去った。

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