概要
どこにでもある私立高校。学年の誰もが認める美少女、小南柚寿と、メンズ雑誌の読者モデルも務める甘いルックスの「王子様」青山瑛太は完璧なカップルだった。成績も良ければ人当たりも良い、まるで絵に書いたようなふたりには、実は相手にさえ教えられない「秘め事」がある。
同じ教室内で密かに青山瑛太殺害計画を企てている内気な少年、矢桐晴と、そんな話に巻き込まれてしまった不運な少女、瀬戸京乃の、四つの視点からひとつの事件を描く青春群像劇。
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!苦い青春が詰まった失墜劇
刺激的な話でした。
端からトリガーが引かれているような状態で、最初から詰んでいるといいますか、落ちるのも時間の問題。題名通り、ゆるやかにまたは急速に落ちる様子を見る話になっています。
物理的なぶつかり合い(バトル)などは、すっきりカラッと終わることが多いのですが、こういう場合は暗くなりますよねと感じた次第です。
生々しいとも言うべきか。現代が舞台であることが、それを強調しているような気がしました。
牽引力のある話の展開でした。いい意味でストーリーという感じがせず、各登場人物が自分の意思で動き、結果ストーリーが動くといった感じです。
四角関係ということもあり、ドロドロとしています。…続きを読む - ★★ Very Good!!青すぎる彼らの、甘酸っぱくない春
好みの作品を探して、スクロールし続けて、辿り着いた作品でした。
彼らは自分を守る為に何を失って、何処へ堕ちて行くのか。若者らしい葛藤と悩みに真剣に向き合える作品は、そう多くはありません。誰しも持ち合わせているものではありますが、自然と目を逸らしてしまいますからね。
自分の青春時代と照らし合わせて読めば、きっと同じ様な脱楽感を味わえるでしょう。
若いとは、それだけで危うさを持ち合わせているものです。そしてその危うさは時に狂気に変わるけれど、いずれは削ぎ落とされて、私達は大人になっていきます。
それが良い事なのか、悪い事なのか。勿体無さのようなものを感じてしまいますが、それが青…続きを読む - ★★★ Excellent!!!この作品は麻薬である。
あらすじを読んだだけで、吸い込まれた。
僕も、アマチュアではあるが、作家の1人だ。そして、自分の文章に自信がある。しかし、この作品に出会った時、筆を折ろうかと思った。これが才能か……悔しい。悔しくて嫌いになりそうなのに、ページを捲る手が止まらない。
この作品は麻薬である。
ネタバレにならないように、内容に触れると、4人の私立高校に通う登場人物の群像劇なのだが、ホラー小説の様に狂ってて、少女漫画の様に甘ったるい。
それぞれの登場人物の気持ちに、感情移入しながら、吐きそうなくらいに嫌悪感を覚える。
読み終えた後にあるのは、ソーダの様に爽やかな読了感と、汚水を啜ったかの様な、胸焼け。
…続きを読む - ★★★ Excellent!!!あなたの作家人生を「終わらせる」名作
この小説は書き手にとって「試練」だ。
まともな小説が書ける人ほど、この小説を読んだが最後、「書くのを辞めたくなる」かもしれない。
それほどまでにこの作品はすごい。
このまま感想を終えると、完全敗北っぽくなって腹立つので、ネタバレにならない程度に当作品の概要と凄さを語ってみる。
「大森靖子」や「神聖かまってちゃん」「相対性理論」等々、この言い方が正しいかは分からないが、いわゆるサブカル系のバンドの曲名が、章の題名にサンプリングされている。(ちなみに大体の曲を私は知ってたし、大体の曲が大好きな曲だった)
これらは単なる引用ではない。作品の各章の内容に抜群にマッチしている。単に曲のテ…続きを読む