苦い青春が詰まった失墜劇

 刺激的な話でした。
 端からトリガーが引かれているような状態で、最初から詰んでいるといいますか、落ちるのも時間の問題。題名通り、ゆるやかにまたは急速に落ちる様子を見る話になっています。
 物理的なぶつかり合い(バトル)などは、すっきりカラッと終わることが多いのですが、こういう場合は暗くなりますよねと感じた次第です。
 生々しいとも言うべきか。現代が舞台であることが、それを強調しているような気がしました。
 牽引力のある話の展開でした。いい意味でストーリーという感じがせず、各登場人物が自分の意思で動き、結果ストーリーが動くといった感じです。
 四角関係ということもあり、ドロドロとしています。人間関係が地雷と火種しかない。
 登場人物はそれぞれ悪いところがあります。完璧な人間というのは存在しません。だけど、心理描写がしっかりとしているからでしょうか。人の心があるように感じて、それが嫌な奴では終わらない魅力を与えているのだと思います。
 歪んでいた関係が色々なことを通して、まっすぐになるという構成は、ある種皮肉ですね。
 あと、サブタイトルに見知ったフレーズがあって、少しドキッとしたり。
 ストーリー展開にセンスを感じます。さりげない対比も秀逸でした。これからに期待したいです。、

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