二人のインカムにくぐもった物音がした。振り返ると、ライカが扉に挟まったコアライダーを跨ごうとして上下逆さにずっこけている。
「あたた……。シリウスくん、マイラちゃん、大丈夫?」
「それはこっちの台詞ですよ!どうやって入ったんですか!外の守りは!?」
「敵の攻撃が止まった。オルトロスもケルベロスもだ。少なくともホークアイのレンジ内で動いてる敵は一体もいない」
シリウスとマイラは顔を見合わせた。
「みんなは無事なんですか!?」
「全員無事だ。きみ達の通信が届いたんじゃないの?用事が済んだのなら引き上げよう。一時的な現象かもしれないからね」
宇宙船を介してロボット達を説得したのはマアトではなく、無人のライラプスだった。ライラプスの操縦システムは外付けのバイパス回路によって制御されていて、博士の信念に基づき、ハウンドの頭脳は元のまま保存されていた。つまり、自律型ロボットでありながら、すべてを知ったうえでシリウスの操縦に従っていたのだ。ライラプスは宇宙船やロボットを乗っ取ったわけではなく、ただ自分の記憶を……シリウスの叫びを、マイラの涙を、みんなに伝えただけだった。ロボット達は彼らを地球へ差し向けた者達よりもずっと素直で、もはや地球とガイアの周りに人類の敵は存在しなかった。
おわり
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