概要
感情人形《フィーリング・ドール》と呼ばれる、感情を持った人形だけが意識を保っていた。
人類最後の遺産である感情人形たちの、なんの変哲もない出会いと別れの物語。
おすすめレビュー
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- ★★★ Excellent!!!終わりの世界で、人形はなにを想うか。
人類を含む全ての『生き物』が消失した世界。
感情人形《フィーリング・ドール》と呼ばれる、感情を持った人形だけが意識を保っていた。
世界が終わってしまった。しかし人形はその終わりの中でひとり、想う。
名前をつけたくれた少女との思い出だけが、変わらない静寂の中を巡る。
そんな中、久しぶりに声が響く。
それは、話すだけでなく、動くことができる、まるで人間のような感情人形の三姉妹だった。
同じ仲間を探しに、一緒に行こうと誘われるソフィアだったが、彼女が選んだ道とは・・・・。
終わってしまった寂しい世界を、人形たちが旅をしている。そんな、不思議な世界観がたまらなく愛しかったです。
読み終わっ…続きを読む - ★★★ Excellent!!!3人の主役と1人の主役。機械だろうと心が介在したら人と定義できるかと。
3人の主役のフィーリングドールはこれからの物語でリドルエンドとして、そしてソフィアという和名とかけ離れたギリシャ語源の女性英語名詞の1人の主役。ちぐはぐになるかと思いきや、彼女の意思尊重が物語の大きなターニングポイントとなるような構造で、ソフィアという叡智が長い歳月考えた結果、日本人形として日本の文化の様な潔さでいわば自害することになるが、コレは有機物無機物だろうと意思を持つ存在は生きていると言える説得力が有りました。ソレを看取った3人の主役たちはこれからどうやって終末世界を生きていくのか想像するのが楽しいと思える作品でした。
- ★★★ Excellent!!!とても言葉では伝えきれない
一人の人形・ソフィアとの出会いを通して三姉妹の旅の目的を見せた作品。
……という事になるだろう。端的に言ってしまえばそれだけだ。
それなのになぜこんなに感情が揺さぶられるんだろう?
人形は本来「器」だけのものであり、そこに感情は存在しない『はず』。
もしもその器に感情が存在したら?
持ち主との濃密で楽しい過去があり、その時間は徐々に失われて行き、最後には人形だけが残る。
残された人形は何を思うのだろうか。
彼ら『人形』が幸せに、その思い出とともに、その生涯を閉じることができたら、どんなに幸せだろう。
三姉妹の旅は続く。
たくさんの『残された人形』たちの為に。 - ★★★ Excellent!!!『笑顔な人』───とても優しくて、とても暖かくて……とても寂しい言葉
読み終えた後、寂寥感に包まれました。
でも、寂しさだけじゃない。ほんのり温かな思いも、心の中で確かに灯っていました。
終末の世界……一体、どれほど寂しいものなのでしょうか?周りに映るものは全て『静』。いや、『止』と言った方が正しいかもしれません。自分だけが動く世界に取り残された気持ちなど、私には想像することもできません。
そんな世界に佇む人形。感情という素晴らしくもあり、厄介ともいえる機能を備えて。
凍った世界でただ一人、人形は何を思うのか。何を感じるのか。何を感じてしまうのか。
ひとこと紹介に乗せた言葉はこの作品で使われているものです。この言葉を見て私は鳥肌が立ちまし…続きを読む - ★★★ Excellent!!!感情を持つ人形がみた終末世界とは
すべての生物が消え失せた終末世界。
そんな空虚な場所に遺された感情人形のソフィアは、他の三体の人形と出会い……。
人の手で作られた人形が、人類が死に絶えた世界に生き残ってしまう。
ここに大きな不条理さを感じます。
AIであればそういう映画があったかもしれませんが、この物語はまったく異なります。
感情があり話すことはできるけれど動くことの叶わない不自由なソフィア。
魔女が作った人形三体と出会い、ソフィアはある決断をする。
それは自身がかつて過ごした環境を思い、そこへ帰依する理を見出したから。
廃墟となった終末世界で、大切な何かを見つけ、回収するように旅を続ける三体の感情人形。
彼女たちの…続きを読む