終末の感情人形《フィーリング・ドール》

作者 聖願心理

201

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★★★ Excellent!!!

感情のある人形。
人類が滅亡していて
寂しいと感じます。
感情のはたらきをとめるため
ものを見ているときのようにぼおっとして
時を過ごしてきた感情人形ソフィア。
ソフィアの前に三人の感情人形があらわれて。

ほかに動くものとてない荒涼とした土地を
小さな存在が活動する感じ、悪くない読後感でした。

★★★ Excellent!!!

一人の人形・ソフィアとの出会いを通して三姉妹の旅の目的を見せた作品。
……という事になるだろう。端的に言ってしまえばそれだけだ。
それなのになぜこんなに感情が揺さぶられるんだろう?

人形は本来「器」だけのものであり、そこに感情は存在しない『はず』。
もしもその器に感情が存在したら?
持ち主との濃密で楽しい過去があり、その時間は徐々に失われて行き、最後には人形だけが残る。
残された人形は何を思うのだろうか。

彼ら『人形』が幸せに、その思い出とともに、その生涯を閉じることができたら、どんなに幸せだろう。

三姉妹の旅は続く。
たくさんの『残された人形』たちの為に。

★★★ Excellent!!!

静かで何もない、ポストアポカリプスの世界を描いた作品です。

主人公は感情人形(フィーリング・ドール)のソフィア。彼女は誰もいないはずの世界で、連れ立っている三体のフィーリング・ドールに出会います。

うら寂しく、何もない虚無の中で、ですが、どこか優しい話だと感じました。
人形ってたしかにそうだよな、そういうものだよな、という、過去の悲しみや痛みさえ、静かに受け止めて、端然と在るソフィアは美しいと感じます。

そのソフィアを受け止めるフィーリング・ドールたちのありようも。

終末という特殊環境で、「人形」というものの運命に思いを馳せることができる、優しさの詰まった作品だと思いました。

「終末」「人形」というワードに惹かれた方におすすめです。

★★★ Excellent!!!

滅びた世界に残された、感情を持った人形。彼女は何を思い、何を選択するのか。


そこはとても静かな場所だと、文章全てが教えてくれました。どこまでも静かで、もう、何も無いのだと。

その中で、戻らないものを、嘆くでもなく憤るでもなく、ただ流れるように想い辿る感情人形を見つめているうちに、誰もが思うのではないでしょうか。

『救ってやりたい』と。

彼女の選択は、儚さと淋しさに満ちて、けれど確かに幸福なのでしょう。

果てない長い旅の入り口ような物語。どうしてか、読み手の私こそが、救われた気がします。

★★★ Excellent!!!

世界は終わった。けれど、世界はそこにある。
人間はいなくなり、その痕跡は風化していく。そこに動き、感情を表す者がいる。

あまり言葉を並べ立てても、読後の余韻を表せない。

終わった世界でどう生きるか。
その選択をあなたも一緒に味わって欲しい。

★★★ Excellent!!!

人形達の出会いは人間以上に人間的。感情を持つ四人の人形達がめぐりあったひとときに引き込まれます。
そして、感情は相手があってこそ生きるものなのだろうと考えました。
ソフィアは持ち主を喪い、もはや感情の使い道がない。一方で三姉妹は互いの存在があるのであてどない旅ができる。
一方で、持ち主との思い出に満たされているからソフィアは死出の旅に出ることができ、三姉妹は現世に留まっているのでしょうか。
それぞれの感情が織り成す選択が切ない読後感を沸き立たせる物語でした。

★★★ Excellent!!!

 読み終えた後、寂寥感に包まれました。

 でも、寂しさだけじゃない。ほんのり温かな思いも、心の中で確かに灯っていました。

 終末の世界……一体、どれほど寂しいものなのでしょうか?周りに映るものは全て『静』。いや、『止』と言った方が正しいかもしれません。自分だけが動く世界に取り残された気持ちなど、私には想像することもできません。

 そんな世界に佇む人形。感情という素晴らしくもあり、厄介ともいえる機能を備えて。

 凍った世界でただ一人、人形は何を思うのか。何を感じるのか。何を感じてしまうのか。

 ひとこと紹介に乗せた言葉はこの作品で使われているものです。この言葉を見て私は鳥肌が立ちました。
 『笑顔が素敵な人』とか『笑顔が可愛い人』なら月並みの言葉ですが、ここでの表現は『笑顔な人』。簡素な言葉に見えて、ここに詰まっている思いは計り知れません。

 文章の構成も見事です。
 この物語は三話に分かれているのですが、メインの人形である'ソフィア'の容姿に関して、一話目と二話目では一切描写がありません。そして、三話目でやっと私達の頭の中にソフィアが現れてくれるのです。それまで、色々と想像しながら読んでいた読者の枝分かれした道が一本にまとまる……思わず唸ってしまいましたね。

 短編ですが、読みごたえはしっかりある作品です。皆さんも是非一度足を運んでみてください。

★★★ Excellent!!!

すべての生物が消え失せた終末世界。
そんな空虚な場所に遺された感情人形のソフィアは、他の三体の人形と出会い……。

人の手で作られた人形が、人類が死に絶えた世界に生き残ってしまう。
ここに大きな不条理さを感じます。
AIであればそういう映画があったかもしれませんが、この物語はまったく異なります。

感情があり話すことはできるけれど動くことの叶わない不自由なソフィア。
魔女が作った人形三体と出会い、ソフィアはある決断をする。
それは自身がかつて過ごした環境を思い、そこへ帰依する理を見出したから。

廃墟となった終末世界で、大切な何かを見つけ、回収するように旅を続ける三体の感情人形。
彼女たちの行方にはまだまだ行き場を失くした同胞が待っているはず。
退廃的なのに美しい、そんな物語でした!

★★★ Excellent!!!

人間が抱えている「死」の恐怖と、人類が抱えている「絶滅」の恐怖。

その両方から人々を救う方法は、今までなかったかも知れません。
ですが今日からは違います。
この物語を読んだから。
終末のその先を、垣間見たから。

この恐怖の緩衝からなる魂の救済は、読んだ人にだけ与えらえる権利です。

文量は7000文字と少し。
読んでみませんか?
世界の終りの端っこで、震えるあなたを救う物語を。

★★★ Excellent!!!

感情のある人形という設定と、なめらかで美しく、なつかしさゆえに切ない独白に導かれてするりと読んでしまいました。
短編ですし、あまり多くを語るべきではないかと思いますが、最後に広がる強い色彩に、ヴェールを外したような感覚をおぼえました。埃のにおいが染みた精緻なレースのうすものを取り払い、意外な人にまみえたような。そんな気がしました。

★★★ Excellent!!!

人類が滅亡した時代。そこでかろうじて生きている感情を持った人形、ソフィア。

たった一人で悠久とも思える時を過ごす中、不意に現れたのは同じ感情人形の三姉妹。

魔女によって作られたという三姉妹は、それぞれアイ、メイ、サチと名乗り、ソフィアととりとめもない会話を始める。

話題は三姉妹の出生に始まり、やがてソフィアの持ち主の思い出にまでのぼる。

そして訪れる“永遠の”別れの時……。


神も仏もいなくなったような世界なのに、魔女によって作られたという彼女たち感情人形の存在は、どこか不可思議で神秘的です。それが本作を単なるアポカリプス作品とは一線を画す、独特の世界観を生み出しています。

そして主人を失くした人形たちは自問します。なぜ自分はここにいるのか。これから自分はどうなるのか。

何もかもが滅んでなくなってしまった世界だからこそ、彼女たちの問いとその答えが、はかなくも美しく、なにより尊く思えてくるのです。


糸から自由になった人形たちが、その果てに選択した未来とは?

その答えは、ぜひ本作をご覧になってお確かめください。

★★★ Excellent!!!

人間の滅んだ世界に取り残された感情人形達の、儚くて美しくて想いの詰まった物語です。
ソフィアという感情人形の元に同じく三姉妹の感情人形が訪れるところから物語は始まります。これと言って激しいアクションなどはなく淡々と進められる物語ですが、ゆえに滅んだ世界の儚さや人形の内側に込められた心情が繊細に丁寧に綴られていてとても心に染み込んできます。悲しいとは少し違う、儚いかもしれないけれどそれ以上に最期まで人形らしい強い想いに胸が熱くなりました。ソフィア、とても好きです。
さり気ないギミックも素晴らしく、ラストとなる三話目では意外な出来事にあっとさせられました。さり気ない仕込みが味わい深く世界観と合わさって、余計に感情人形達のキャラクターの良さを引き出しています。
短編ということで、このお話はソフィアと旅をする三姉妹でまとめられていますが、きっとこの世界には他にもたくさんの感情人形達の想いと物語が待っていることでしょう。他の感情人形のお話も読んでみたいと思いました。
人のいなくなった世界に残された人形達の感情に、是非触れてみてください。

★★★ Excellent!!!

終わってしまった世界に残された感情人形たちの物語……という始まりだけで、すでにできすぎでご飯をお代わりする人がたくさんいそうな気がします。物語の全ては終わってしまった世界の雰囲気を醸し出すために語られ、なにも明らかになることなく、淡々とつづいてゆきます。
すごく雰囲気がいいんですよね。だから読み終わった時に、続きを読みたいと切に思いました。カクヨムコンで受賞して続きを読めることを祈っています。

★★★ Excellent!!!

このお話の焦点は、「ありがとう」と言えるときまで、そして「どういたしまして」と返答されて、ソフィアがソフィアとして全うした、そこの部分に全てが詰まっています。

しゃれた言葉はいりません。というか纏えません、この作品に。

その、ありがとうからどういたしましての部分を重視して何度も何度も読み返して下さい。読むたびにソフィアの思いが少しずつ心に流れてきます。

★★★ Excellent!!!

人形というモチーフはいつだって悲しみを背負う。
演じ続ける宿命だったり
役割を失ったり
人を増しているのに人を逸脱した力を与えられたり…

しかし、そこもまた人形。
人を模した故に人の悲しさをも吸い込んでしまう。
風化、忍び寄る死。
長い時を永い永い時を生きてもなお、すり減らない感情という人外感と身近に迫る、そして脳裏にチラつく「死」

人形は人を取り残すだけではない。
終わりを選べるようになったその時から人形同士も、取り残されたものの話が生まれる。