終末世界での人形劇

人間の滅んだ世界に取り残された感情人形達の、儚くて美しくて想いの詰まった物語です。
ソフィアという感情人形の元に同じく三姉妹の感情人形が訪れるところから物語は始まります。これと言って激しいアクションなどはなく淡々と進められる物語ですが、ゆえに滅んだ世界の儚さや人形の内側に込められた心情が繊細に丁寧に綴られていてとても心に染み込んできます。悲しいとは少し違う、儚いかもしれないけれどそれ以上に最期まで人形らしい強い想いに胸が熱くなりました。ソフィア、とても好きです。
さり気ないギミックも素晴らしく、ラストとなる三話目では意外な出来事にあっとさせられました。さり気ない仕込みが味わい深く世界観と合わさって、余計に感情人形達のキャラクターの良さを引き出しています。
短編ということで、このお話はソフィアと旅をする三姉妹でまとめられていますが、きっとこの世界には他にもたくさんの感情人形達の想いと物語が待っていることでしょう。他の感情人形のお話も読んでみたいと思いました。
人のいなくなった世界に残された人形達の感情に、是非触れてみてください。

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