「チェンジだ!」
まだ見ぬ世界を見つけるため、冒険者が海へと繰り出す時代。海妖対策士エンテは、冒険者を海の怪物から守るために、ある船へと派遣された。しかし、やってきて早々、船長から戦力外通告を受けて……!?
小柄な少女エンテが、とある冒険者たちの船に乗り込み、襲いかかる海妖たちから船を安全に航海できるよう対策していく物語。エンテの一人称で綴られる本作は、彼女の負けん気溢れる情熱が可愛く書かれていて、読んでいて面白かったです。
船長のアクイラは美形の俺様船長で、エンテのことを最初は不安に思っています。けれども彼女の仕事ぶりを見ていくにつれ、変化していく態度にはギャップ萌えするところもあり。二人の関係に注目してください。
襲いかかる海妖との手に汗握る戦いも迫力満点。
大海原を舞台にした、冒険者たちと一人の少女の物語。オススメです!
まさかの第一声にチェンジ!と言われてしまった少女エンテ。
しかし、アヒルに例えられるほど小さな彼女は王立海妖対策研究所の最高位である『第一級海妖対策士』だった。
ほとんどが解明されていない広大な世界で、新大陸到達を目指して恐ろしい【海妖】が跋扈する大海原へと旅立つ一隻の船――とある冒険者たちのお話です。
子アヒルことエンテの一人称視点で物語は進んでいきます。
一人称ゆえに彼女がどれだけ対策士として真剣に考え、だからこそ仕事には一切手を抜かず俺様な船長にすら噛み付く負けず嫌いな性格かひしひしと伝わってきます。
エンテの感情が時に面白おかしく、時に誰よりも直向きに描かれており、どんなに危険な海上でも前を向いて進む彼女の姿には胸がうたれました。
王様のような船長アクイラ。親しみのある船医のシュエット。似てるようで似ていない双子のファルケとヴェルガー。他のキャラクターも大変個性豊かで、エンテとのやり取りは見ていて楽しいです!
特に船長アクイラの王様ムーブのなかに滲む彼なりの優しさにはニコニコとしました。
アクイラとエンテの関係性の変化、最後に明かされるアクイラの衝撃の事実には最高に気持ちよくなるかと私は思います!
この世界ならではの独自の生態系はファンタジーでありながらリアリティのあるもので、生き物として細部まで設定が練られています。
ファンタジーの幻想生物ではなくファンタジー世界の生き物だと、この世界で進化をし続けていた生態だと感じられて生き物好きである程度の知識がある方は確実に惹かれるかと思います。
逆に詳しくなくてもファンタジーに絡めながら作中で説明してくださるので、ファンタジー好きの方もワクワクと楽しめる内容です。
中編として綺麗にまとまっており、ストーリーのテンポも良くてスルスルと世界に引き込まれていきました。
エンテがどのように危険な海妖たちの対策をしていくのが、ぜひその目で確認してみてください!
子アヒルな見た目とは裏腹に頭が切れ、その知識量と熱意は確かに一級です。