概要
今、写真を求める人々にまつわる青春群像劇。
おすすめレビュー
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- ★★★ Excellent!!!写真家アシスタントが見る、写真家という職業の存在意義
あなたは写真を撮ったことがあるだろうか?
この問いに対し、あると首肯する方が大多数だろう。
スマートフォンにタブレット端末。撮る手段は数あるし、それらは必需品と言っていいほどに社会生活の中へ入りこんでいる。
高額な機器機材を用いずとも、いつでもどこでも誰もが写真を撮れる時代。それが現代日本だ。
そんな「写真を撮ることが特別ではない」時代において、写真を生業とする写真家に何ができるのか。また、写真家を求める人はどういった存在なのか。
この作品はそれを軽妙に、しかし現実の一場面であるかのようなリアリティでもって描き出す。
存命中の家族の遺影を撮影せよという奇妙な依頼。心霊写真を撮ってくれと…続きを読む - ★★★ Excellent!!!書籍化間違いなしの一級品
読み終わった後、わたしは、作品の完成度の高さに舌を巻いてしまいました。
レビューを書きたいけど、この作品の奥深さを語るには、一朝一夕の言葉選びでは足りません。それほど、この作品に“当てられてしまう”人は多いはずです。
まず、個性的で謎めいた主要人物たち。彼らのことをもっと知りたくて、ページを捲る手が止まりません。
そして、挑戦的な題材。社会問題、世間を揺るがせた大事件、読む方によっては、もしかしたら受け入れ難い内容かもしれません。ですが、各題材ごとに、作者さんなりの結論に結びつき、読了後には、肉の塊を飲み込んだかのような、ずっしりとした感覚が胸に残ります。
ですが、なんといっても、「写真」…続きを読む - ★★★ Excellent!!!分類できない作品に、物語の喜びが確かに宿る。
まず謝らなければならない。
自分が書くものに短編が多いことが作用してか、私は長い文章を読むことを敬遠する癖がある。
この作品のずらーっと並んだ目次を見た時も、正直最後まで読み切れる自信はなく、CASE1だけ読んで感想を書ければ上出来かな、くらいに思っていた。
ここまで書けばお分かりだと思うが、私は読まされたのだ。
CASE1どころか、続くCASE2、さらにまだ完結していないCASE3の既巻分、その最後の一文字まで。
この作品は「分類できない作品」である。
見る角度によって、純粋な文芸にも、ライトノベルにも、あるいは何かの漫画やアニメの原作のようにも、姿を変える。
この作者には、それら全てが…続きを読む - ★★★ Excellent!!!それでも僕は、写真家を真摯な職業だと敬服する。
まだ連載中だが、完結まで書ききってほしいのでその一助になればと思いレビューを書いた。
カメラというのは魔性だ。カメラに魂を抜き取られると言われた時代があったが、現実から時間という概念を捨て、ただ一瞬を切り取るという行為に意味を見出した先人たちは偉大だ。何にせよ、思い出を保存して置けるのだから。
この作品がシリアスな展開でありながら、それでもスラスラと読めてしまうのは、作者のユーモアが僕たちが物語に没入する手助けをしてくれているからだろう。まるで漫才を見ているようだ。
ギャグを挟みながら小気味よく、時に人間の確信に触れる物語のリードは、今の僕には真似できない。口惜しいことに僕も創作…続きを読む - ★★★ Excellent!!!一枚の写真が語る人生
“優れた作品は人を孤独にする。” というのは本作の中で登場するフレーズだが、この『写真家・ササキの存在意義』を読んでまさにその感覚に陥ったような気がする。
その人だからこそ思いつくアイデア、紡ぎ出せる言葉、芯の通ったメッセージ等々、自分にはない才能を目前にした時の、得も言われぬ孤独感。
孤独ではあるものの、清々しさや愉悦が付随するその感覚は、ある種のカタルシスのようでもある。
スマートフォンなどで手軽に高画質の写真を撮れるようになった現代において、“写真家”という職業に中々の新鮮味を感じる。
被写体のとるべき体勢を指示し、ちょうど良いところでシャッターを押す。大雑把に考えるとそれだけのこと…続きを読む