概要
強い力。優れた頭脳。優しい両親。そして信頼し合える友だち。
そのうち一つでも持っていたなら、少年は幸せでいられたでしょうに。
少年は何一つ持っていませんでした。
皆が使える魔法の力さえも、少年は持っていなかったのです。
これは、そんな少年が、一人の謎めいた少女と出会い、広い世界を知ることで少しずつ変わっていく物語。
正しさとは何なのか。幸せとは何なのか。ちっぽけな勇気も持たぬ少年に真実は見つけられるのでしょうか。
乞うご期待
※普段は二日に一度。21時10分更新。だけど最近ペースが乱れ気味
縦読み推奨
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!この世界に生きる人々の現実を、豊かな言葉の奔流が鮮やかに表現する。
レビュー執筆者:戸崎亨
(レビュー初めてです……なにかまずいことしてたら教えてください)
・89話まで見て
あらかじめ言っておかなければいけないことがある。
それはこの作品が持つ魅力に触れるには、登場人物の心の機微に少しでも共感しながら、圧倒的文量を理解と共に読むしかない。
故に、生半可な覚悟でこの作品に向き合うのは非常に失礼だ。
「魅力的な話なら5話くらいで面白さが伝わってこないといけないでしょ」
と言っている人には全くお勧めできない。
私の主観だがこの話の面白くなり始めるのは30話を越えた頃だ。そして85話辺りまでは作品に夢中になるに必要なプロローグであるとも言っていいと個…続きを読む - ★★★ Excellent!!!ファンタジーでありながらも、このリアリズムは心を深くえぐる・・・
読み進めるにつれて、どこまでも、どこまでも、人間のウソ、社会のウソ、読者のウソを、深い闇に覆いながら、暴いて、心を深くえぐっていきます。
ファンタジーなのに、過剰なまでのリアリティー、逃亡を許さぬ作者の視線、まるで、読者全員を打ちのめしてゆくかのような・・・。この悪夢が、これからどのように変貌するのか、このまま徹底的な悪夢として人を打ちのめし続けるのか、私には見当もつきません。ここはある意味で牢獄であり、檻の扉が開いているのに、私は逃げ出して自由になる道を選べませんでした。最後まで読むでしょう。
ページ数まで打たれていますが、この物語は、一度は何らかの形で、書籍化されたものなのでしょう…続きを読む - ★★★ Excellent!!!記憶が揺らぎ、記憶で揺らぐボーイミーツガール
弱い少年と強い少女(あるいは弱くもない少年と、強くはない少女)の物語を、「記憶を譲る魔法」というギミックが掻き回すのだ。
たとえば、私達の記憶の中の景色や感情は、自分に何度も言い聞かせたり、他人に何度も言い聞かされたりすれば上書きされて歪んでしまうことはある。
そうあれ、そうあらねばと思えば、信じ込むことはできる。
しかし、魔法を使えば一瞬で、跡形もなく、記憶は消えてしまう。
魔法で譲った記憶は、元の持ち主には忘れられて、別のそれらしい記憶に置き換えられてしまう。
譲った者はどんな記憶を譲ったのかも忘れてしまうし、やりようによっては、忘れたことすら忘れてしまう。
それどこ…続きを読む - ★★★ Excellent!!!この物語が、君のそばにいるよ。
主人公が強くてかっこいい、女の子にモテモテっていう小説(しょうせつ)は多いよね。
でも、そういう小説を読んで、君の心は震(ふる)えたかな? 誰(だれ)にも分かってもらえない悲しい気持ちを、語ってくれたかな?
この『現の悪魔(うつつのあくま)』は、そんな「君」のために書かれたファンタジー小説だよ。
親がいない。友だちからいじめられている。大人たちの言うことが信じられない。言葉にならないモヤモヤがある。体が弱い。
この物語の主人公ルーツも、君と同じ悩(なや)みを抱(かか)えてる。
だからさ、試(ため)しにチラッと読んでみてよ。
もしかしたら、読むのが止まらなくなっちゃうかもしれないよ。