#17. 藍鉄


 鉄火の華が咲く。

 

 ぼうぼうと燃える赤の中に、黒い線香が立つ。

 囲炉裏の火とも、花火の火とも、似ても似つかぬ色、匂い。

 

 煙が舞って、あの世の道が開いて、降りて来た彼らが舞い戻る。

 あの日から住まう、天上か何処かへ。

 用意せよ。心と、儀式の終いを。

 灯篭を、太鼓を、茄子の牛を。

 

 鉄火の華が咲く。

 藍鉄の香が焚かれる。

 白い帯を引いて、彼等は帰路につくだろう。


 半分は貴方の為に。半分は私達の為に。送ろう。

 来る年もまた、会いまみえたいと願いつつ。


 今日からは、冬に向かって生きていく。

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