#16. 半色


 朝露、かすみを食らう鳥の羽。



 快晴、狐の嫁入り。

 はした色が透ける百日紅サルスベリ


 薄桃は露染みた体で、空をみる。

 雲ひとつ見当たらず、暗雲の予兆もない。


 ならば、成らんと鳴らない槌を、ふってふって振りかぶれば、想っていた世界がほんの一部だったと思い知る。


 この心、曇る理由は何か。


 この手、昂る仕組みは何か。


 この脳、焼き崩れる理性は何処へ。


 百日紅、咲き、つゆだくになり、摘まれる。


 晴れ渡る空に、ほんの少しの悪意をもって。

 ばらばらと、握りつぶしてみせた。

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