#5. Dimgray
三点リーダーとダブルダッシュがよく含まれる小説を書いている。
私は小説を書く才能なんかなくて、文才なんてもってのほかで、きっと、今まで見た作品の模倣をしながら生きている。
語彙力は皆無、辞書を引く気も起きない。
人間は多くがそういうものではないだろうか。
読めない漢字を見つけたら、なんとなく読み飛ばして次へ進む。けれど、児童文学を扱う作家にしたって、文才が無ければ分かりやすく話をまとめて伝えることなんてできるわけがないわけで。
ああほら、また「わけで」をたくさん使ってしまっている。なんのわけなんだ。教えてほしい。
私の愛用するPCは、実はもう生産されていない古物である。
だからなんだ、世の中にはタイプライターというものが存在するぞ。
なんて、言い出してしまえば、いいや、やはりワープロだ、太郎だ、いやいや今は青いWが主流だぞ、というような堂々巡りが始まってしまう。
私はなんでもいい。なんだったら原稿用紙でも構わない。
紙とペンと下敷きがそろえば、私はどこででも作品を書き残せるのである。
保管場所はさておいて。
先日遂に寿命を迎えたPCを抱えて、次はどんな色のものを買おうかと、粗大ごみ置き場で首をひねる。
赤黒白。今の時代、パソコンの色が多すぎて目移りするものだけど。
やはり灰色にしよう。私にはこれぐらいがちょうどいい。
ああそういえば、ここまでで私は何回、「なん」と言ったのだっけ。
口癖は文字に出るもの。私はかじかんだ手をマスクに添えた。
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