概要
僕には心がない。僕の心は誰かに奪われてしまった。
『心臓転移』。
その人を想っている誰かに心臓を奪われてしまうというものだ。
心臓が誰かに奪われ――盗まれる時代。『心臓窃盗保険』や『心臓探し専門の探偵』なんいうのもある。
二つの心臓を手に入れた猟奇犯に無理心中されたアイドルもいた。
最初は奇病・オカルトとして扱われた心臓コンバーションだが、今は心臓を転移し合う『心臓の交換』こそが真実の愛であると真しやかに囁かれている。
しかし、僕の心を奪ったのは、僕の恋人ではなかった。
僕の心臓は、いったい誰に奪われたのだろう。
※5000字程度の短編です。サクッとどうぞ
その人を想っている誰かに心臓を奪われてしまうというものだ。
心臓が誰かに奪われ――盗まれる時代。『心臓窃盗保険』や『心臓探し専門の探偵』なんいうのもある。
二つの心臓を手に入れた猟奇犯に無理心中されたアイドルもいた。
最初は奇病・オカルトとして扱われた心臓コンバーションだが、今は心臓を転移し合う『心臓の交換』こそが真実の愛であると真しやかに囁かれている。
しかし、僕の心を奪ったのは、僕の恋人ではなかった。
僕の心臓は、いったい誰に奪われたのだろう。
※5000字程度の短編です。サクッとどうぞ
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!心臓は頭の中の石のようだ。
中世ヨーロッパの人々は、頭痛の原因を「頭の中に石があるからだ」とみなしていたそうだ。
この主人公にとって、心臓は大事な臓器だそうだが実際、この頭の中の石とほぼ変わらないのではなかったと思う。
心臓を奪われても恋人のことを想う気持ちは変わらないし、死ぬときの気持ちも、普通の人間となんら変わらない。
むしろ心臓を奪われてラッキーだったのではないかと、なんとなく考えさせられてしまう。心臓を奪われることで主人公はダイビングができるようになった。海の壮大さを知ることができた。
望みとは違う方向に行っても、自分なりの幸せを築けているならそれでいいと私は考えてしまうのだ。なぜだろう?今回はそれを考えさせら…続きを読む - ★ Good!すこしふしぎが、心を温める。
正直もっと猟奇的な作品かな、サスペンスかな……と思って読み始めたのですが、予想を裏切られました。ドロドロ要素微塵もなかったよ(笑)
心臓は人の命を左右する部位ゆえに、そこが障害されると自由を奪われるものだと思います。自由に動けない、強要するわけにいかないことは分かっている。それでも見て欲しい世界があった──そんな純粋な思いが、意外な結果を生んだのかなあという気がしました。
個人的には男性の心理描写が非常にうまいなあ、と感じています。その人のために望んだことでも、恩着せがましい言い方はせずに笑いに変えてしまう、そして相手もそれを追求しないというのはよくあるなあと思うので(特に仲がいい関係ほ…続きを読む