屋敷にお泊り
瑠璃が目覚めた、次の朝の事だった。
「るり様、朝ですよー。」
メイドのいじゅういんさんが、瑠璃を起こしに来た。
「あ、いじゅういんさん、おはよう。」
瑠璃はまだ眠い目をこすりながら、いじゅういんさんに言った。
「ディズミーランド、ざんねんだったね。」
瑠璃は、少し寂しそうに言った。
「また行きましょう、今度は何事もないといいですね。」
いじゅういんさんは、そう言って瑠璃を励ました。
瑠璃が着替えて、朝食に向かおうとしていた、その時だった。
『るーちゃん、おはよう。』
四人の少年達が、瑠璃を出迎えた。
「あれえ! たけちゃん、さとくん、けーちゃん。あと正義の味方のお兄ちゃん・・。」
瑠璃は驚いた。
「どうして、みんな、うちにいるのー?」
「それは、るーちゃんの家が、むぐぐ・・。」
武が言おうとしたが、圭二がとっさに武の口を手で塞いだ。
「ぼくたちは、お泊りにきたんだよ。」
さとるがとっさに言った。
「本当?!」
瑠璃は喜んだ。
「うん、当分いるからね。」
さとるは、笑顔で答えた。
「武、あまりるーちゃんを心配させるようなことは言うなよ。」
「ああ、すまん。」
武と圭二は小声でそう言った。
昨晩のことだった。
四人の少年が瑠璃の屋敷へ駆けつけた時、怪我をした、武の兄の武流が、瑠璃の屋敷で介抱されていたのだった。
そして、武流は衝撃的な事実を言った。
「叔父は、俺達兄弟と、新堂財閥を潰そうとしているんだ。」
武はショックを受けた。
「叔父貴は、俺達だけじゃなくて、るーちゃんの事まで狙ってるのか。」
武流は頷いた。そして皆に言った。
「すみません、私の責任なんです。父母の死後、跡取りであるはずの私がしっかりしていないために、こんなことになってしまって・・・。」
「頭を上げてください、武流さん。あなたのせいではありませんよ。」
さとるがそう言った。
「僕、その叔父さんに会って、話をつけてこようと思います。」
「無茶です。叔父は冷酷な人間だ。命が危ないかもしれません。」
「これ以上、るーちゃんにつらい思いをさせたくないんです。」
と、武流とさとるは、話し合った。
「あれー? お兄ちゃん、どこかで会った?」
瑠璃は、朝食へ向かう椎羅にそう尋ねた。
椎羅は、瑠璃の頭に手をポンと乗せると、
「また会えたな、るーちゃん。無事で良かった。」
と、言った。
すると、突然、瑠璃が目に涙を浮かべてこう言った。
「うわーん、パパ―。」
椎羅は黙って、瑠璃の頭をなでるだけだった。
それをみたさとるは、
「行こう、るーちゃん、椎羅。ご飯だよー。」
と、声をかけた。
ーこんな生活は早く終わりにしなくちゃいけない。終わらせなきゃいけない・・・。
さとるは決意を新たにしたのだった。
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