瑠璃の未来

昼食を食べ終わった四人は、しばしの間、レストランでくつろいでいた。

「はー、おいしかった。」

瑠璃は満足そうだった。

「ありがとうございます、マイクさん。」

「どうもありがとうございます。」

藤原さんと、伊集院さんは、お礼を言った。

「では、おみやげでも・・・」

と、藤原さんが言った時。

「やめな。もう用事は済んだ。お前達、帰るんだ。」

マイクさんが、意味深なことを言ったのだった。

「帰りの駅まで、送っていく。無論、誰にも気づかれないように、だ。」

「どうしたんですか、マイクさん。」

藤原さんは、不思議そうな顔をした。

「いいから。」

「るりはおじちゃんを、しんじるよ。」

と、瑠璃は思いがけないことを言った。

「サンキューな、るり。」

「では、名残惜しいですが、帰るとしましょうか。」

「そうですね。」


四人は、そそくさと、ディズミーランドを後にした。

マイクさんはさりげなく、辺りを見回しながら、三人を見守っている。

そして、帰りの駅に着いた。

「よし、ここまで来れば、安心だ。皆、気を付けて帰れよ。」

「ありがとうございます、マイクさん。」

「でも、一体何があったのですか?」

「それは、あとで分かる。」

藤原さんは、納得いかなそうだったが、うんうん、と頷いた。

伊集院さんは深々とお礼をした。

「かわいこちゃん、またいつか会えるといいな。」

「えっ。」

伊集院さんは、顔を赤らめた。藤原さんがそれを見て言った。

「ちょっとマイクさん、からかわないでくださいよ。」


列車がやってきた。

「じゃあな、ここでおさらばだ。達者でな。報酬はス〇ス銀行に。」

「ス〇ス銀行・・・ですか。」

ゴ〇ゴ13かいー、と藤原さんは脳内でひとり突っ込みをいれた。

「おじちゃーん、またねー。」

瑠璃は手を振った。マイクも手を振り返した。


すまんな・・三人とも。のご命令で、未来を変えてしまった。


マイクは思った。そう、列車に乗っている三人はあとで気付くのだが、ディズミーランドでは、今頃、怪しい人達がうろついているのだ。

「瑠璃様、お元気で。」

マイクは、どこへともなく姿を消した。


その頃。さとるの家でも異変が起こっていた。

普段家庭教師をしてくれている、けいちゃんが、今日は難しい顔をして、黙ったままだったのだ。

「けいちゃん、どうしたの?」

沈黙を破って、さとるが切り出した。

「さとくん、俺が何を言っても、驚かないか?」

「え、内容によるけど・・・。」

「さとくん、俺を信用してくれるか?」

圭二は真剣な顔で、さとるを見た。

「うん、分かったよ。」

根負けして、さとるが言った。


「なら、話そう。絶対に、最後まで聞いてくれ。」

「うん。」

「実は、さとくんと、瑠璃様は、婚約者、なんだ。俺は、未来の執事長であり、あなたが、ご主人様だ。」

「・・・・。」

「シイラ、という少年を知っているだろう? あれは、さとくんと瑠璃ちゃんの息子。新堂椎羅、という。未来を変えるために、やって来た。」

「どうやって、現代に来たの?」

「エドワード博士を、知っているかな。あの人が、タイムリング、というものを開発した。つまり、過去に行ける、リングだな。」

その時だった! 突然、椎羅が姿を現した。


「分かってくれたか、。」

「君が椎羅か。分からない、僕には分からないよ。」

さとるは混乱した。

「落ち着いてくれ、親父。あんたが納得してくれないと、瑠璃の未来は、とんでもないことになってしまう。」

「るりちゃん、、つまり椎羅のおかあさんだね。」

「そう、あんたの嫁でもあるな。」

「そ、そうだね。」

「じゃあ、はっきり言おう。未来には、親父もおふくろも、いない。」

「えっ! どういうこと?」

「察してくれ・・・親父!」

ここで、圭二が口をはさんだ。

「武も呼ぼう。みんなで作戦会議だ。」

こうして、とんでもない真実と向き合わされた、さとるであった・・。







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