ディズミーランドその②
ようやく順番が回ってきた。
瑠璃と伊集院さんと藤原さんは、白鳥の形をした乗り物に、乗り込んだ。
すると、小さな世界、という曲が流れて来た。
♪世界中どこだって 笑いあり涙あり
みんなそれぞれ助け合う
小さな世界
世界はせまい 世界は同じ
世界はまるい ただひとつ(※出典 ディズニー様)
「いい曲ですね」
と伊集院さんが言った。
「そうですね、そんな世の中なら、争いも起きないですね。」
と、藤原さん。
「せーかいはせーまい せーかいはまーるい♪」
瑠璃がつられて歌い出した。みんな笑った。
すると、水に浮かんで、ぷかぷかしていた白鳥号が自動で動き出した。
すると、両側の壁から、からくり人形が動き出したではないか。
いろんな国の人形たちが、手をつないで踊っている。
「まさに夢の国ですね。」
藤原さんが言った。
「ほんとに。ずっとこうしていたいです。」
「瑠璃もー。」
でも白鳥号は、ゆっくりとゴールへと向かって行く。
音楽とともに、ゆっくりと。
からくり人形も、壁に隠れてしまった。
「ゴールですね。」
「あっという間でしたね。」
「あーあ。」
瑠璃は少し残念そうだった。その時。
シャボン玉が、ぷわぷわと流れて来た。
「うわあー きれいー。ちきゅうみたいだね。」
藤原さんが笑ってこう言った。
「たまには、こんな休日もいいですね。」
「地球ってこんなに綺麗だといいですね。」
と、伊集院さん。
そしてゴール。ちょうど、お昼ご飯の時間だ。
「あー、楽しかった。」
「そろそろ、お昼ご飯の時間ですね。」
藤原さんが言った。どこも混雑している。
「困りましたね。どこも混んでる。」
伊集院さんも、困り顔をしていた。
その時だった。
ダンディなスーツを着た、おじさまが、突然現れた。
「任せな、穴場なら知ってるぜ。」
「あ、あなたは誰ですか?」
藤原さんは警戒したが、おじさまは表情一つ変えずに言った。
「オレの名前は、そうだな。マイクとでも呼んでもらおうか。とある方からの命令で、今日一日ボディーガードを務めさせてもらう。」
「おじさん、よろしくね。」
瑠璃は小さな手を差し出した。マイクは握手をした。
「安心しな、邪魔にならないように、陰から見守ってるぜ。」
「ダンディですね、マイクさん。」
伊集院さんは、照れたように言った。
「よしな、かわいこちゃん。俺に惚れたら火傷するぜ。」
「厳しいセリフの中に、優しさがありますね。」
藤原さんは、ちょっと悔しそう。
「さて、めしにしよう。顔パスで行けるところに案内するぜ。」
と、マイクさん。
マイクさんに連れられた来たのは、ラッキー・★ゲット・カフェ
従業員が、マイクの顔を見るなり、
「いつもごひいきに。特別席に、ご案内しますわ。」
「ああ、頼むよ。いつものやつを、四人分な。」
「はい、かしこまりました。」
「マイクさん助かります。ありがとうございます。」
と、藤原さんが言った。
「なあに、たいしたことないさ。」
「おじちゃん、お船がみえるよ。」
瑠璃が指さして言った。確かに、船が見える。
「あれは、マイク号、という。」
「うわー、すごいねえ。」
河沿いの立地に、河沿いの特別席を用意してもらったので、マイク号が通っていくのが見えて、瑠璃は、はしゃいでいる。
そして、料理が運ばれてきた。
静かなジャズの音楽と、水の音。
フライドチキンと、コールスロー。パンとドリンクが運ばれてきた。
おまけに、売店でしか買えない、スモーキー★ゲットレッグとテュロスがついてきた。
「すごい、さすがです、マイクさん。」
「さあ、食え食え。」
「いっただっきまーす。」
「まあ、おいしいですわ。マイクさん。」
みんな、はしゃいでいる。思いがけないボディーガードが現れたものだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます