ディズミーランド

ひっそりと、執事達の会議が終わった、次の日の事。

「瑠璃様、今日もいいお天気ですよ。」

メイドの伊集院さんが、瑠璃を起こしに来た。

「おはよう、いじゅういんさん。」

るりはちょっと元気がない。というのも昨日怖い夢を見て、泣いてしまったからだった。

そんな瑠璃をみて、伊集院さんが言った。

「今日はね、楽しいニュースがあるんですよ。」

「えっ、何?」

そのとき、藤原さんも、瑠璃の部屋にやって来た。

「瑠璃様、この前、福引で当たったチケット、覚えていますか?」

「うん、おぼえてるよ。」

藤原さんは、にこっと笑った。

「今日、私達は、休暇を取ったので、瑠璃様さえよければ行きましょう。」

「もちろんいくよー、ありがとう!」

でも、瑠璃は不思議そうな顔をした。

「さんにんでいくの? ちけっとふたつしかなかった?」

藤原さんは、Vサインして、こう言った。

「瑠璃様は、まだ五歳なので、ただでお入りいただけます。」

「そうなんだー!」

伊集院さんは、ほっとした顔をした。

「よかった、元気になられて。」

藤原さんも頷いた。


電車に乗ること二時間。瑠璃は、私服姿の藤原さんと伊集院さんと一緒に、ディズミーランドの入り口に来ていた。

「すごい列だなあ、朝早く来たと思ったのに。」

「噂には聞いていたんですけど、すごいですね・・・」

「うわあ! ここがディズミーランドなんだね。」

瑠璃はうきうきしている。待たされることも苦ではないようだ。

30分ほどして、ようやく入り口に入ることができた。

「さ、瑠璃様、何にのりたいですか?」

瑠璃は広いディズミーランドをキョロキョロと見渡す。


なるべく ジェットコースタには乗りたくないな・・・


藤原さんは思った。実は高所恐怖症なのだ。


「るりは、あれがいい!」

瑠璃が指さしたのは、夢のファンタジー small world  という看板だった。

「あれですか、確か白鳥にのって、色々な国を冒険できますね。」

藤原さんは、ホッとした。

「藤原さん、顔が青ざめていましたよ。」

伊集院さんに突っ込まれると、藤原さんは照れたように言った。

「いやあ、高いところは苦手でして・・・。」

「あら、私もですよ。」

「そうなんですか、お互い安心して乗れますね。」

small world の入り口に着くと、また待たされることになった。

「何だか、人を見に来たような感じですね。」

藤原さんは、少し呆れたような顔をした。

「そういえば、私、小さい頃来たことがあるんですよ。」

と伊集院さんが言った。

「あ、そうなんですか。」

「はい、と一緒に。」

「へえー。そうか、いいですねえ。」

「あ、藤原さんはどうなんですか?」

「私は、初めてですね。一人っ子でしたし。」

そんな会話を聞いて、瑠璃が言った。

「ふじわらさんは、るりと一緒だねー。」

「そうですね、瑠璃様。」

そうしているうちに、順番がめぐってきたのであった。





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