パパとママ

ナイト達が揃って、二週間くらいした、ある日の事。

瑠璃のパパとママは、帰りの飛行機に乗っていた。


待ってろよ、瑠璃。パパとママはもうすぐ帰るからな。


そう、パパは頑張って無理やり仕事を、二週間で終わらせてしまった。

「あなた、大丈夫? 昨日も徹夜だったでしょう。」

「ん?ああ。」

パパの顔色は、優れなかった。

「本当は、一週間で終えるつもりだったが、歳かねえ。」

「やだわ、この人ったら。」

パパとママは早く瑠璃に会いたかった。

寂しい思いをさせているのではないか、と思っていた。

「でも、そのおかげで早く帰れることになったしな。」

「おみやげもたくさん買ったし。」

とてもじゃないが、一年間も、瑠璃と離れて過ごすことは出来なかった。

それなのに。

突然、パパとママのボディーガードが言った。

「旦那様、奥様、大変です。飛行機がハイジャックされました!」


『瑠璃!』


珍しく、瑠璃は夜中に目を覚ました。

「こわいゆめ、みちゃったなあ。」


パパやママ、どうしてるかなあ


瑠璃はお月様とお星様を見上げて思った。


パパ、ママ、るりがんばるよ。だから、パパたちもがんばって。


そして、一人ぼっち、ベッドに潜り込むが、なみだがなぜか、とまらない。

起き上がって、パジャマのまま部屋を出て、誰かいないか探してみた。


「瑠璃様、こんな時間にどうされました?」

真っ先に声を掛けてきたのは、メイドの伊集院さんだった。

「るり、怖い夢見ちゃたの。」

「あら、それはいけませんね。」

伊集院さんは気が付いた。めったに泣かない瑠璃が泣いていることに。

伊集院さんは、思わず瑠璃を抱きしめてこういった。

「泣きたいときは、思いっきり泣いていいんですよ。」

伊集院さんは、瑠璃をいいこいいこ、してくれた。

「うわーん。」


瑠璃の泣き声を聞いて、北条さんと藤原さんが駆け付けた。

「瑠璃様、どうされました?!」

「怖い夢をみてしまったんですって。」

伊集院さんが説明した。

「それはお可哀そうに。泣きたいときは思いきり泣くのが一番です。」

北条さんが言った。藤原さんも頷いた。

「とりあえず、私がベッドまでお連れします。眠るまでお側におります。」

と、伊集院さんが言った。

「ああ、頼んだよ。伊集院さん。」

と、北条さんは心配そうに瑠璃を見つめた。

伊集院さんは、瑠璃を連れて、子供部屋に入っていった。

「瑠璃様、お眠りくださいね。明日はきっといいことがありますよ。」

「ありがとう、いじゅういんさん。」

伊集院さんは、昔覚えていた子守唄を瑠璃に聴かせた。

瑠璃は、知らず知らず、眠りに落ちていった。


「お眠りになりました。」

子供部屋を出て、伊集院さんが北条さんと藤原さんに報告する。

「お可哀そうに、瑠璃様がお泣きになるなんて、よっぽど怖い夢を見られたのでしょうね。」

「そうだな、私達でなんとか瑠璃様を元気づけてあげられないものか。」


こうして、ひっそりと深夜の会議がはじまったのだった・・・。



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