本日のドッキリビックリメカ

さとる一行が間宮コンツェルンに向かっている時の事だった。

ハロルドちゃんは外でパパのエドワード博士と遊んでいた。

「あれ?パパー?」

「どうした、ハロルド。」

「あの車にのってるの、るりちゃんだよね。」

「圭二もいるじゃないか、どこへいくんだ? まさか・・。」

どこへ行くんだ、さとるも、新堂家の執事達まで。まさか!! あの方向は!!

エドワードに一抹の不安がよぎった。

「パパ?」

ハロルドちゃんがエドワードの不安をかき消すように言った。

「そんなに気になるならあれをつかうといいよ。」

「あれ?」

エドワードはポンと手を叩いた。

「ああ、あれか!!」

「ね?」

「ハロルド、ひょっとしてパパより頭いいかも。」

「そおお?」


そしてエドワード博士が取り出したものは・・・。

「ゆけ! 本日のドッキリビックリメカ!!」

巨大カタツムリのラジコンだった。しかも遅かった。

「パパーー! ちがうでしょー。もう。」

ハロルドちゃんが首を振った。

「ドローンだよーー、もう!」

「あ、そっちね。」

「ゆけ! カメラ搭載ドローン!」

ハロルドちゃんがまた首を振った。

「パパ―! 方向が反対だよー!」

「あれ?反対に飛んでるな。」

「ぼくがやるよ、もうー。」

ハロルドちゃんが、カメラ搭載ドローンを操作し始めた。

つかさ、早く帰ってこい。どうか何事も起こりませんように。

エドワードは心から願わずにいられななかった。


その頃、日本の羽山空港では。

瑠璃のパパとママが無事に到着したのだった。

「これからどうなさいますか、司さん。」

十文字貴仁が新堂司に聞いた。

「とにかく娘に会います。」

ママの椎奈は、

「いろいろありがとうございました、貴仁さん。」

と、深々と頭を下げた。

十文字は、

「困った時には、いつでも呼んでください。飛んでいきますから。」

と言った。

司は、十文字に手を差し伸べると、

「あなたを友と思ってもいいですか?」

と聞いた。

十文字は微笑んで、

「もちろんです、司さん。これからもよろしく。」

と、差し出された手を固く握りしめたのであった。


さとる達と瑠璃の乗った車は、間宮コンツェルン入り口に到着した。

「いよいよ着いたんだね。」

「さとくん・・。」

瑠璃はぎゅっとさとるの袖を掴んだ。

さとるは、

「るーちゃんがもう怖い思いをしなくてもすむように、僕、頑張るからね。」

と、瑠璃を励ました。

瑠璃は、

「ありがとう、さとくん。るりは、さとくんが一番大好きだよ。」

と、にっこり笑った。

さとるも微笑みながら、

「うん、僕もるーちゃん大好きだよ。」

といって、瑠璃の小さな手を握ったのだった。








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