反発

武はそっぽを向いたまま言った。

「やい、お前、本当に俺たちの味方なんやな?」

すると、圭二はムッとした顔をして言った。

「お前とはなんだ、口のきき方がなってないな。」

そして腕組みすると首を横に振って言った。

「まあ、単細胞にはなにを言っても分からんだろうがな。」

「何やとー?」

二人は険悪な気配になった。それを見たさとるは、

「まあまあ、二人とも。」

と、仲裁に入った。せっかくメンバーが揃ったのに、仲間割れしていたら、元も子もない。

「まあ、仲よくやろうぜ、たけちゃん。」

圭二は挑発するように笑った。

「気安く呼ぶな。」

武は、圭二につっかかる。その時。

「でもねー、あたし、お兄ちゃんがいっぱいいて楽しいなあ。」

と、瑠璃が笑顔を見せた。

その笑顔につられて、三人も笑顔になった。


本当に、一人ぼっちなんだ、この子・・・。


さとるは思った。そして瑠璃に言った。

「元気出せよー。」

「えっ?」

さとるは、武と圭二の肩を叩いて、

「オレ達三人は、るーちゃんの兄貴なんだから。」

と言った。


もう、寂しくないんだよ・・・。


さとるは思った。そして、何としてでも三人のチームワークを保持せねば、と思った。

「うん。」

瑠璃は笑った。

こうして、圭二も加わって、瑠璃の周りは、一層賑やかになったのだった。


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