福引
ナイト達が揃った次の日の事だった。
瑠璃が大人しく部屋で絵を描いていると、コンコンと、ノックの音がした。
「どうぞー。」
瑠璃が言うと、顔を出したのは執事の藤原さんだった。
「ふじわらさん、どうしたの?」
瑠璃が尋ねると、藤原さんは、福引券を二枚見せた。
「瑠璃様、お暇でしたら、一緒に福引に行きませんか?」
「わーい、行く行く!」
瑠璃は喜んだ。実は福引が大好きなのだ。
「では、一緒に行きましょう。支度をしてまいります。」
と、藤原さんは笑顔で答えた。
そして、私服に着替えた藤原さんと瑠璃は、一緒に福引会場に行くことになった。
「福引券二枚ありますが、瑠璃様二回やりますか?」
と、藤原さんが尋ねると、
「ふじわらさんと、るりで一回づつやろうー。」
と、瑠璃は言った。
「では、どちらがいい賞をとれるか競争しましょうか。」
「いいよー。」
瑠璃は上機嫌だった。
福引会場に行くと、結構な人数の人達が並んでいた。
「結構来てますねー。」
「はやくやりたいなあ。」
瑠璃はわくわくしていた。
そして、いざ次の番になると、二人は緊張してしまった。
「次ですねー。」
「うん。」
「どちらが先に引きますか?」
「ふじわらさんからねー。」
「承知しました。」
そして、とうとう順番が来ると、会場のおじさんが、
「はい、二回ねー。」
と、あっけなく言った。
「では、私からまいりますね。」
「がんばってー。」
ガラガラガラ・・・ポトン
「おめでとう、お父さん。四等です。」
おじさんは、醤油を一本、藤原さんに手渡した。
「醤油ですかー。」
藤原さんは、やや残念そうな顔をして受け取った。
「じゃあ、次はあたしがやるねー。」
「瑠璃様、頑張ってください。」
瑠璃は、背伸びをしながら、福引のガラガラを回した。
すると。
カラーン、カラーン
と、おじさんがハンドベルを鳴らして言った。
「おめでとう、お嬢ちゃん。一等賞じゃないか、大当たりー。」
「わーい、やったねー。」
「瑠璃様、すごいですね!」
周りの人も、瑠璃に拍手をしている。
「はい、ディズミーランドのペアパスポートだよ。お父さんと行っておいで。」
「わーい、ありがとう。おじちゃん。」
瑠璃は言ったが、あまり嬉しそうではない。
それを察した藤原さんは言った。
「行こう、お父さんと。」
「えっ!」
瑠璃は一瞬驚いたが、すぐに笑顔になってこう言った。
「うん、ぜったい行こうねー。」
帰り道、二人は手をつないで帰っていった。
こうして瑠璃は、藤原さんの事が、前よりもずっと大好きになったのだった。
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