けいちゃんの憂鬱
今日も暑い日だった。でも瑠璃は、冒険に行きたいと言い出した。
「いやだもん、うちの中にばかりいるのは。冒険に行きたいー!」
困り果てた北条さんは、スマホを取り出すと、ナイト達に連絡を取ってみた。
「あーー北条さん、すまん。今日は店が忙しいよって。」
「ごめんなさい、北条さん、今日僕は塾なんです。」
たけちゃんも、さとくんも、今日は無理の模様。
頼みの綱は、けいちゃんだった。
「もしもし、圭二君。今日瑠璃様の護衛を頼めるかな?」
「はい、オレは大丈夫ですよ。」
「よかった、瑠璃様が冒険に行きたいと言っているのでよろしく頼むよ。」
「了解しました、そちらに伺います。」
よかった、けいちゃんは暇らしい。
北条さんは、ほっと胸をなでおろした。
「瑠璃様、けいちゃんと一緒に、お出かけくださいね。」
「わーい、けいちゃんかー。」
瑠璃も喜んでいる様子。
しばらくして、圭二がやってきた。
「るりちゃん、おはよう。今日はオレと冒険に行こうか。」
「うんうん、けいちゃんありがとう。」
「どこに行きたいの?」
と、けいちゃんは尋ねた。
「ハロルドちゃんのおうち」
と、瑠璃は言った。
「ハロルドちゃん?」
「うん、瑠璃のともだちなんだよ。」
圭二は知っていた。ハロルドの父が、博士であることも。
「そうか、じゃあ行こう。」
「うんうん。」
瑠璃は、はしゃいでいるが、圭二はなぜか浮かない様子をしていた。
2人でしばらく歩くと、ハロルドの家が見えてきた。
「ハロルドちゃーん、おはよう。瑠璃だよー。」
瑠璃の家に負けず劣らずの豪邸である。白いレンガ造りのお家で洒落ている。
「るりちゃんおはよう。遊びに来てくれてありがとう。」
ハロルドはイギリス人。でも、おとうさんとおかあさんが日本に住んでいるから
日本語がぺらぺらなのだ。
「エドワード博士。ご無沙汰しております。」
圭二は、父親に挨拶した。
「君は・・圭二君じゃないか。アメリカに行っていたんじゃないのかい?」
「ええ、ちょっと急用がありまして、日本に戻ってきました。」
「そうか。まあ、ゆっくりしていってくれたまえ。」
「ありがとうございます。」
エドワードは、研究室に戻っていった。圭二は、そこで何が研究されているのかも、知っている。
瑠璃とハロルドちゃんは、おままごとをしてあそんでいた。
無邪気でいいなあ、と圭二は思った。
圭二は、そっと、溜息をついた・・・。
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