パパ達の戦い
「ブルーレッドは、三人組の男です。旦那様と奥様を狙っています。銃を、持っています。」
と、パパとママのボディーガードが言った。
「奴らは、私が食い止めます。その間に、旦那様や貴仁様は、奥様と一緒にお逃げください。余りにも危険すぎます。」
「伊集院!」
パパがボディーガードの名前を呼ぶ。そう、このボディーガード、けいちゃんやメイドの伊集院さんの、兄なのだ。
「旦那さまや、奥様をお守りするのが私の役目です。避難通路は確保してあります。さあ、早く!」
パパは首を横に振った。
「大丈夫だよ、伊集院。君だけにそんなことはさせないからね。
三人で力を合わせれば、必ず道は開けます。私は子供たちにこんな思いは、してほしくない。」
十文字さんも頷いた。
「その通りです、新堂さん。」
「旦那様・・。奴らが来ました!」
と、伊集院は言った。
瑠璃、パパは負けないからね
とパパは思った。
「静かにしろ!」
周りの人々は、パニックになっている。
「逃げも隠れもせず、出てくるとはな、新堂司。」
「あ、あれは?!」
ブルーレッド達は、十文字を見て、驚いた様子だった。
「雑魚が。こんな卑怯な真似をして何になる。」
ドスを聞かせた声で、十文字が言った。
「黒龍会の組長か、バックについてるとはな。」
「お前達、何の目的で、俺を狙うんだ?」
と、司が言った。
「ノーコメント。」
三人組が、司と十文字に銃を向けた。
「ヤス、あれ持ってるか?」
「へい、組長。」
十文字は催涙弾をブルーレッドに向けて投げた。
続けざまに、弾幕を投げた。
「今ですよ、新堂さん。」
「はい! 十文字さん助かります。」
伊集院は、すばやくブルーレッドの銃を取り上げた。
「何?!」
「旦那様と奥様の命を狙うやつは、私が許さん!」
十文字と司は、素手で三人に殴りかかった。
催涙弾と、弾幕で、三人は右往左往している。
無事に取り押さえられた、と思った瞬間だった。
「甘いな!」
「旦那様!」
ブルーレッドの一人が、銃を隠し持っていた。それと伊集院が叫ぶのが同時だった。
伊集院は、司をかばった。
『伊集院!』
司と十文字が叫ぶ。
バキューン
一発の銃声。
しかし、伊集院は、その男に殴りかかって、銃を取り上げた。
その隙に、司は、三人を縄で縛る。
「伊集院、大丈夫か?! しっかりしろ。」
「大丈夫です、旦那様。万が一のために、防弾チョッキを着ておりました。」
「皆さん、落ち着いてください。犯人は無事取り押さえました。」
十文字が周りの人々を、落ち着かせた。
「椎奈、大丈夫か?」
司が、妻の名を呼んだ。
「私は大丈夫よ。あなた、頑張ったわね。」
椎奈と呼ばれた女性は、司に駆け寄った。
「十文字さん、ありがとうございます。あなたが力を貸して下さらなかったら、今頃・・・。」
「いいえ、大したことはしていませんよ。新堂さん。」
「私は、間違っていたんです。富や権力だけでは、本当の幸せをつかむことができない、ということに、もっと早く気付くべきだった。」
司は続けて言った。
「今頃、娘は怖い思いをしているに違いありません。私のせいなんです。」
「悪いのはあなたではない、間宮です!」
十文字が一喝する。
「あなたはまだ、過ちを犯していない。これから未来を変えればいいんです。」
「貴仁さん・・・。」
司は、深々と頭を下げた。
「司さん、私もあなたと同じ立場の一人。一緒に間宮の悪の手を食い止めましょう。」
「二日後には、もう日本に着きますね。お願いします! 十文字さん。」
「もちろんです、新堂さん。」
二人は、固く握手をした。こうして、パパたちの戦いは一段落したのであった。
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