第14話 中国のネット小説

 中国ではネット小説が大繁盛しています。


 Yahoo!ニュース「10億円稼ぐ作家も!中国で「小説投稿サイト」ビジネスが爆成長中」

(https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20190513-00064547-gendaibiz-bus_all&p=2)より

 ――以下抜粋。


 中国語で網絡文学とされる中国のネット小説。その現状は、日本より遥かに規模が大きく、少なくともネット小説のユーザー数は3億人を越え、小説投稿サイトのアクセス数は1日あたり15億 PVとされます。これは日本最大手である「小説家になろう」の一か月分の PV 数に相当するレベルです。

(中略)

 中国の小説投稿サイトにおいては、マネタイズに関して明確に日本より積極的に進められており、1000文字あたり0.05元前後(0. 8円ほど)の課金に加え、「投げ銭システム」(気に入った作家に任意のお金を支払う仕組み)の併用なども行われています。

 実際に課金ユーザー数は1000万人を超え、中国の小説投稿サイト運営におけるシェアの大部分を握るテンセントは、作家に対し年間で10億元(約166億円)近い印税を支払っているとのことです。

 結果として同国のネット小説家のトップとみなされる唐家三少(Tang Jia San Shao)氏の印税は、ゲームなどのマルチメディア展開の成果もあり18億円を超えるとされています。


 ――以上。



 凄いですね。笑


 中国は人口が多いですし一概に日本と比較する事はできませんが、一つの市場としては圧倒的に成功しています。


 しかし、問題がない訳でもありません。


『たとえば、従量課金制によって収益を上げる仕組みであるがゆえに、収益は執筆した文字数に依存することから、とにかく多量の文字数を執筆する必要があり、結果としてネット小説家の過労死などが社会問題とされたことさえあります。(Yahoo!ニュース「10億円稼ぐ作家も!中国で「小説投稿サイト」ビジネスが爆成長中」より)』


 との事。

 何事も程々が一番ですが、そこまでのめり込んでしまう人も出てくるという事でしょう。


 では、何故中国のネット小説はここまで成長する事ができたのでしょうか。


 その答えは、小説投稿サイトの親会社「Tencentテンセント」の体制にありました。



 『テンセントはバイドゥ・アリババとともに「中国3大IT企業」とされるIT企業です。ゲーム分野などで世界最大の売上高を誇るそのテンセントは、漫画や小説分野にも進出を続けており、子会社である『閲文集団』が運営する「起点中文網」を始めとした複数の小説投稿サイトを合計すると、同国のネット小説読者のユーザーカバー率はなんと90%にまで至っています。

 このネット小説事業における圧倒的一強体制によって、テンセントの子会社である『閲文集団』は中国における映画、ゲームやテレビドラマ、漫画などにおいて多数の原作を供給し、IP戦略をもとにこれまでメディアミックスで成功を収めてきました。(Yahoo!ニュース「10億円稼ぐ作家も!中国で「小説投稿サイト」ビジネスが爆成長中」より)』



 日本国内における小説投稿サイトの最大手「なろう」は作品権利の一元管理はしていません。

 カクヨムが最大手だったりしたら、テンセントと似た様な立ち位置になりますね。


 そういった意味で中国のWEB小説は作品のメディアミックスが非常に盛んだと言う事になります。


 そして、テンセントは国内に留まらず、世界へ向けて中国の小説を発信しています。



 Rakuten Infoseek News「中国のネット小説が海外でも大人気になっているワケは?―中国メディア」

(https://news.infoseek.co.jp/article/recordchina_RC_224738/)より


 ――以下抜粋。


 近年、中国のネット小説を読む海外ネットユーザーが増加している。中国新聞網が伝えた。

(中略)

 データは、中国のネット文学が近年、急速に発展していることを示している。調査会社・艾瑞諮詢(iResearch)の「2016年中国ネット文学著作権保護白書」は、16年、中国のネット文学業界における「PCでネット文学を読むユーザー」の数は約2億1700万人で、モバイルアプリのユーザーの数は約2億6500万人に達したと試算している。第39回「中国インターネット発展状況統計報告」も、16年、中国のネット文学ユーザーの数は3億3300万人に達したとしている。


 ――以上。



 この結果を受けて、テンセンスは海外へ向けてWEB小説を発信する動きを強めました。



 HON.jp News Blog「中国ネット大手Tencentグループ、中国Web小説を海外向けに翻訳・発信する「Qidian International」サイトをオープン」

(https://hon.jp/news/1.0/0/11258)より


 ――以下引用。


 中国の英字ニュースサイトSouth China Morning Postによると現地時間(2017年)5月15日、ネット大手Tencent(本社:中国広東省)グループの電子書籍子会社China Reading(本社:中国上海市、閲文集団)が、中国のWeb小説を海外向けに翻訳・発信する「Qidian International」サイトをオープンした。

 今回オープンしたQidian Internationalサイトは、中国国内のWeb小説投稿サイト「Qidian(起点)」の国外専用版で、Tencentグループの電子書籍部門としては初めての海外読者向けサービスとなる。

 China Reading社は、2015年にTencentグループとShanda(本部:中国上海市)がそれぞれの電子書籍子会社を統合・合併し設立された同国最大手の電子書籍ストア運営会社で、年内のIPOを目指している。


 ――以上。



 こうして一大市場となった中国のWEB小説。


 近年、日本の小説投稿サイトでも収益化の動きが活発化しているのは、こういったWEBが大きな影響を与えている事は確実でしょう。


 しかし、ネットを通じて小説を読む方法は、何もWEB小説に限りません。


 そう。

 電子書籍もあります。


 しかし、電子書籍は今一つピックアップされていない印象を私は受けています。


 何故でしょうか。


 次はそこを考えていきましょう。

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