ユーザーが期待する事
第9話 "小説に興味のない人"を引き込む
これまでは作り手側の意見を考えてきました。
こうすれば良いんじゃないか、実はこうしたいんじゃないか。
そうはいっても、作者だけではどうしようもない部分も出てきます。
皆さんだって知っているはずです。
WEB小説において、ただ「面白ければ読まれる」という事が幻想である事は。
評価される云々の前に、まずはサイトを利用する読者を確保しなければなりません。
読む人がいて初めて、「これは面白い」という評価を受けられるのですから。
そのためには、小説投稿サイトという枠組みにおいて、既に類似のコンテンツがある以上、「他とは違う」という独自性をもっと全面に押し出すべきです。
サイトが「良い環境」でなければ、小説に興味のない新規ユーザーが利用してくれるはずもありません。
そして、作家は一般的な読者よりも小説に慣れ親しんでいる分、より"読者"として作品を探していく事になるでしょう。
では、ユーザーにとって「良い環境」とは何なのか。
恐らく基本的な事です。
ここではどうすれば「人」の集まるコンテンツになるか。
その辺りを考えていきます。
◯読者の誘致
もう基本も基本です。
WEB小説投稿サイトにて何故「なろう」が覇権足りうるか。
ユーザー数が1番多く、評価、コメント共に読者の反応が他の投稿サイトに比べて段違い多いからです。
カクヨムの登録ユーザー数(アクティブユーザー数ではない)は約30万だったと記憶しています。
これに対して、なろうは約150万です。
読んで字のごとく桁が違います。
リアクションの量に差が出るのも当たり前です。
つまり、新たに参入する投稿サイトは、このユーザー数150万が1つの基準になる訳です。
では、読者はどこからやって来るのでしょうか。
なろうのアクセス解析ではスマホとPC、携帯からの各アクセス数を。カクヨムのアナリティクスではもう少し細かく、それに加えてどこのSNS経由で来たのか等も分かります。
ただ、カクヨムは自作品しか見れませんが、なろうは投稿されている作品であれば、いくらでも解析を見られる点で考察する上ではとても有利です。
単純に読者の多いなろうランキング上位作品の解析を見てみると、誤差はありますが、おおよそPC:スマホで1:2です。
圧倒的にスマホで閲覧する人が多いですね。
つまり、家でしっかり腰を据えて読む人はあまり多くなく、出先の隙間時間にサクッと読むのが主流となってきていると推測できます。
この認識を誤ると、とんだ見当違いのサイトへと変貌します。
読者が何を求めてどのような動きをWEB上でしているか。
この点、LINEは多くのユーザーのデータを持っています。
これは非常に強いと私は考えます。
出版社が自社サイトを立ち上げても、この事前データ不足によってサイトオープン後の動きを予想することは困難だったでしょう。
そういった意味で、LINEはWEB上での人の動きを熟知しているといえ、そのノウハウが後述するサイトのデザインやUIに活かされやすい。
すなわち、ユーザー視点のサイトを構築しやすいのではないかと期待しています。
しかし、「小説」は漫画や音楽とは全く違うコンテンツです。
データが逆に固定観念となる可能性は否めません。
この辺りに関してはLINEさんに期待するしかありませんが、是非使いやすいサイトを作って欲しいです。
また、潜在的な読者を如何にしてサイトへと誘導するか。
LINEノベルは公式作家と「読めば無料」を掲げていますが、私としてはこれだけでは弱いと思います。
普段小説に触れていない人が有名な公式作家や、読む事前提の施策にマッチするとは思えないからです。
例えばLINEノベルであれば、LINEの他のコンテンツにて使えるポイント等を配布する方が合っていると考えます。
読めばポイントが貯まる、などですね。
そうすればスタンプが欲しいから、などで「とりあえず」と覗く人も増えるのではないでしょうか。
これは他の投稿サイトでも言えます。
出版業界内で出来る事だけでなく、他の業界とも提携(コラボ)をすべきです。
業界に携わる機会を増やし、巻き込む人を増やすのです。
音楽でも良いです、アイドルでも良いです、ニュースでも良いです、ソシャゲでも良いです。
カクヨムではコンテストのテーマで見た異業種ですね。
では、この分野を好きな読者を取り込めましたか?
答えはNOでしょう。
折角コラボしたのなら、コラボ先のファンを取り込む企画に何故しないのか。
ソシャゲが何かの人気作品とコラボしたら、そのゲームのユーザーが増えますよね。
コラボ先のファンがユーザーになれば、ガチャを引いて好きなキャラを使えるからです。
カクヨムで音楽のコラボが行われました。
その音楽が好きな人は?
ふーん、で終わりです。
だってカクヨムに登録しなくても、小説を読まなくても、新曲は聴けますもの。
……ため息しか出ません。
元々小説に興味がある人をサイト間で取り合っていても意味がありません。
今まで小説に興味を持っていなかった新たな読者を増やさない限り、出版業界は停滞します。
停滞とは衰退です。
変化を生みださなければいけません。
時が流れている以上、現状維持とは成長させる事に他ならないためです。
新たな潮流、ヒットや流行を生み出し、初めて業界は飛躍できます。
読者をどれだけ増やせるかが鍵になっている小説投稿サイトにおいて、読者の誘致はもっと細かく、様々な手を打つべきです。
でなければ、出版業界に未来はありません。
断言できます。
では次のステップです。
覗く人が増えたと仮定しましょう。
……ほんと、お願いします、企業様。
増やして下さい。
これは我々WEB作家ではどうしようもないです。
すると次はアクティブユーザーになってもらわなければなりません。
登録だけして以降使わないであれば、何の意味もありませんからね。
そのためにはどうすれば良いか。
これは、数多ある既存の投稿サイトの問題点を洗い出せば良いだけです。
長くなりそうなので、次話から詳しく見ていきましょう。
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