第8話 作者が期待する事

 これは簡単に言ってしまえば一言で終わると思います。



 ――自分の作品を読んでほしい!



 これだけではないかと。


 そのために少ない時間をやりくりして、少しでも読まれるような工夫をし、そして必死に「面白い」とは何かを考える。


 我々が行う事は今も昔も、そう変わらないように思います。


 ただし、読者の求めるニーズ、流行は時と共に刻一刻と変化しますから、作者もそれについていかなければなりません。

 これは作者の課題であり、常に努力し続けていくべき義務でもあると思います。


 では、作者が企業(運営)に望む事は何かを考えた時、必要なのはではないかと私は思います。

 「ここに投稿すれば読まれる」、「ここのシステムは安心」といった信頼です。


 アクティブユーザー数、執筆する上でのUI、評価が正しく反映されるランキング等々。


 金銭面でのバックアップやら、書籍化につながるコンテストやらの前に、もっと基本的な使を重視して欲しいと私は思います。


 ここはカクヨムですから、例えばカクヨムについて考えてみます。

 私が語るよりも非常に優れているエッセイがありますので、この場で紹介させて頂ければと思います。


 木沢 俊二氏「カクヨムが「なろう」に勝てない5つの理由」

 https://kakuyomu.jp/works/1177354054889328717


 上記の作品は、カクヨムに投稿した自作品の管理方法や見せ方について、「こういう機能があったら良いな」という意見をまとめられたものです。

 私も拝読させて頂いた際には、「確かに!」と同意しかありませんでした。


 LINEノベルに限りませんが、小説投稿サイトは「こんな良い点がありますよ!」というアピールの対象がになっている気がします。


 コンテストを開催、書籍化のチャンス、収益化……。


 読者には全く関係ないですし、「使いたいけど使いにくい」となってしまっては本末転倒です。


 私はWEB作家の端くれのつもりですが、一ユーザーとして企業に何か物申せるなら、こう言いたいです。



 ――『ユーザーファースト』を掲げるのであれば、もっと根本的な部分の見直しをしてくれ!!



 正直、「書籍化できる」って言っておけば書き手は集まると、WEBで活動するアマチュアを馬鹿にされているような気がします。


 企業は新人を育てる気がなく、既存の有名作家さんが本を出した方が圧倒的に売れる。

 新人がヒット作を出せたらラッキー。


 企業の人、皆が皆そう考えていない事など分かっています。

 しかし、ユーザーの大半はそんな印象を抱いているのもまた事実でしょう。


 まずはその認識を変えようとしている姿を見せて欲しい。



 何故、安易に売れる本しか考えていないのか。


 何故、時間と金がかかるからと面倒臭がり、新人を育てる気がないのを隠しもしないのか。


 何故、”賞金と書籍化”という一辺倒な誘い文句を繰り返し連呼しているのか。


 何故、斜陽だ斜陽だと声高に叫ばれている中で、「今までと何が違うの?」としか第一印象で思わない企画ばかりが目に付くのか。



 このままじゃ売れないだろうけど、この作家を育てたい。そう感じる事はないのか。


 売れなかったら悔しいと、作者と一緒に涙を流す編集者はいないのか。


 書籍化しなくとも、メディアミックスしなくとも、何か作品を輝かせる事は出来ないかと、そう思考する回路は持っていないのか。



 ここはWEB小説投稿サイトです。


 今までの流通販路よりも大きな世界が広がっています。


 その分、目にもされない多くの作品が高く積まれているでしょう。


 その中に、”原石”があるかもしれない。


 企業は”それ”を見つけたいと思っていたはずです。


 決して”始めから光っている宝石”物を、むやみやたらに拾っては捨てていく事ではないはずです。



 素晴らしい作品は作者から勝手に生まれるものではありません。


 必死こいて、頑張って、血反吐吐いて、それでも地べたを這いずって。


 ようやく形となるのです。


 そのあと押しが「書籍化」で、最終的には「使い捨ての駒」?


 馬鹿にするのもいい加減にして欲しいです。


 WEB作家は企業のために小説を書いている訳ではありません。



 作者が、読者が、気持ちよく使えるサイト作り。


 企業はその事を、もう一度よく考えて欲しいと思います。



 ただ、具体的にどうすれば良いか何も提案しないのは些か無責任かと思います。


 次話では作者、読者に関わらず「ユーザーが期待する事」について。

 よりツッコんだ話をしたいと思います。

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