第7話 出版社が期待する事

 前話では主にLINEノベル、特に三木統括編集長の意見から汲み取れるビジョンについて考えてみました。


 では、今度は実際に売り出す側。出版社の考えについてです。



 まず、出版社の意見として、「話売り」に関して当初は難色を示していたという記述がありました。


 これは書籍としてまとめた場合、WEB小説とは違って1話毎に区切るというノウハウがないからだと推測できます。


 一冊の中に起承転結を作る書籍と、各話毎に起承転結を意識するWEB小説では、根本的に構成原理が違います。


 書籍を買ったら途中でポイする人は少ないでしょう。

 そもそも、ポイされても一冊分の料金は発生していますから、出版社にお金は入ります。

 まあ、シリーズにファンとしてついてくれるのがベストでしょうが。


 けれども、WEBでは1話読んでつまらなかったからポイは往々にしてよくある話です。


 よって、出版社はより構成というものを意識していかなければならないです。

 ブランドという看板を掲げている訳ですから、下手な作品は出せません。

 これまでよりもタスクが増えます。嫌ですね。


 けれども、最終的には時代のニーズに沿った手法であると判断したのでしょう。

 またプラットフォームの元が「LINE」である、という点も大きかったと思います。


 出版社としてはより多くの人に「小説」を読んでもらい、親しんで欲しい。(そして、買って欲しい)


「LINE」の持つ強みは大きな魅力ですね。


 つまりはそうい事です。


 現状、出版社が期待している事は、にあると推測できます。


 そして、「結局は有望な新人作家の狩り場になるだけでは?」と揶揄する気持ちが生まれるのは当然です。


 出版社がオファーするのは人気作品(作家)のみ。


 この認識が崩れない限り、「なろうの二番煎じ」というそしりは免れません。


 ここに折衝役として「LINEノベル運営」が入る事で、作家の生存率が上がると信じたいところではあります。


 しかし、出版社が期待している「顧客の増大」は、本当に青田買い以外ないのでしょうか?


 これは私の考えですが、他にも道はあると考えています。


 その一つが、出版社の持つ販路を有料で貸し出すことです。


 例えば、自費出版した作品の販売委託を受ける等ですね。

 同人誌ではよくある事ですし、別に小説でやっても良いと思います。


 出版社の名を冠さず、サークル名やPN名での流通を出版社がやってあげる代わりに料金を受け取る。

 win-winな関係だと思います。


 読者的に出版社の作品と認識されないようにすれば問題ありません。


 人気が出たら出版社から書籍かしないかと声を掛けるのもありですね。


 他には、編集者とのマッチングシステムなど。


 もし小説投稿サイトで読者数を稼ぎたいと考えた時に、出版社ではなく編集者個人とエージェント契約を結べるようにするという事です。

 勿論、出版社には紹介料等の人件費が入ります。


 以前に触れたレベニューシェアの編集者バージョンみたいなものだと考えてください。

 まあ、これをやると編集者のタスクが爆発的に増えますが。


 しかし、誰かの意見というのは作家であれば皆欲しいものです。


 自分の作品をリアルの知人に見せ、アドバイスを貰える人はそう多くないと思います。

 WEB上でも貰えない人だって大勢いるのですから。


 編集者不要と言われる中で、本当に不要なのかどうか。

 それを皆が体験して判断できるという点も大きいですね。


 結果が出なかったら、途中で契約を切れば良い訳ですし。


 また、出版社としては編集者の新人教育に使えます。

 別にベテランの編集者を充てがわなくとも良いのです。


 だって、別に出版社から書籍を出すわけではないのですもの。

 失敗しても出版社からすれば痛くも痒くもありません。


 ですから、


 ①編集者の数を増やす。

 ②アマの作品に編集者として派遣される。

 ③経験を積む。

 ④書籍作品の担当に着く。


 この流れを作ってしまえば、確実に経験を積む事ができると考えられます。


 編集者の実績や力量によって収益の分配率を調整すれば出来高制になるので、編集者のモチベーションも上がる、かもしれません。



 このように、書籍化から収益を得るのではなく、自社が既に持っているコンテンツ、ノウハウを売り物としてという発想は今までになかったのでは無いかと思います。


 出版社が作者を選ぶのではなく、作者が出版社を選ぶ


 新たな動きを見せるWEB小説界隈に、出版社はをもっと見せていくべきでしょう。


 作者から魅力的と見えるコンテンツを、企業は既に沢山持っているはずです。

 使い方を変えるだけ、見せ方を変えるだけ。


 それだけでも、きっと新たな収益を生み出すコンテンツと成り得る。

 私はそう感じています。



 それでは、今度は逆に考えていきましょう。


 私たち、作者です。


 私たちは何を求めているのか。


 具体的に「こういう事をやって欲しい!」と言える人は、案外少ないのではないでしょうか?


 ここが不満と言うのではなく、こうしたら良くなると。


 どうすれば企業も読者も納得するような、作者の独り善がりにならないシステムが生まれるのか。


 そこを次に考えていきましょう。

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