現在連載中の短編集です。物語のひとつひとつが独特な雰囲気に包まれています。恐ろしさや心地よく予想を裏切る結末と不思議な読後感。ネタバレにならないよう、詳しいことは書きませんが、穴を題材にした物語と嘘を題材にした物語がとても印象的でした。
どの短編も読んだ後に怖くなったり、もやっとしたり、ホッとしたりと何か心に残る作品ばかりです。文章も読みやすいのでさくっと読めますよ。純文学だと思います。
素敵な読後感を味わえる短編集。僕は特に或る春が好きで、BBCテレビの自然ドキュメンタリーで見るような、開花する美しい高精細スローモーションを文章で切り取ったような鮮やかさがありました。是非御一読を!
自然体でありながら、かもしだしている文章の『気配』がすごい。なんでしょう。ゾクゾクします。いつか、とんでもない化け方をしそう。
どのお話もなにげない短いものなのですが、それぞれのエピソードに合った雰囲気が自然に醸し出されていてとてもおもしろいです。目に見える派手なおもしろさではないのが逆に強いと思います。ストーリーやキャラのおもしろさはわかりやすいんですが、逆に言うとそれはそこまでのこと。おもしろくなるような雰囲気を産む文章は目立たないですが、どんなお話でも通用するすごい力になると思います。
各話完結。どぎつくない。ストーリーのテンポと文章なのかなって思うのですけれど。第4話。第1話のもやっとタイプの話です。少しパワーアップしている気がします。凝っていると言ってよいでしょう。第5話。わたくしには、すごくよく感じられました。最後のシーンのために、淡々と細部まで丁寧に語られて。最後はじける。傑作なのでは。
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