episode15 聖夜から生まれる輪

 テレビをつければイルミネーション。

 窓の外を覗けばイルミネーション。

 街に出ればイルミネーション。


 世間がクリスマスというイベントの存在を知らしめてくるかのように僕の事を襲う。


 この前、クリスマス目前の合コンで何も収穫無しに終わったし、このままではクリスマスに何もやる事がない。そんなのただの人である。

 そう思い、ワンナイト軍団で集まる事にした。年末という事もあり、忘年会という形にしたのだ。

 もちろん週末に集まる事にした。時間は19時開催である。

 壱は他の軍団メンバーに連絡を取り、日程が決まった。クリスマスイブの24日になったのだが、この日はちょうど週末であるので、当然街にも人が集まる。一軒目に飲みに行って、その後にクラブに行く流れにしたのだ。


 日程が決まり、それまでの日々は作戦を練っていた。何しろ、一年の締めくくりだ、ここで上手く行くかどうかにかかっている。クラブに行き始めてから半年近く経った。

 だが、クラブで直接持ち帰った事はなかった。


 クラブでのナンパブログを読み、事前勉強もし、気合を入れる。忘年会までの1週間は、クラブナンパを徹底に勉強し、いよいよ忘年会の日を迎える。


 クリスマスイブの今日、街中にトゥルーなカップル達が手を繋ぎ合いながらデートしてるのを目撃する。可愛い子を連れている男を見ると少し羨ましくも思ったが、いつかは自分も、、、




 雪が少し降り注ぐ中、待ち合わせ場所に着くと、皆、着いていた。

 10分前に全員集合した。待ち合わせ時間通りに全員集まれるのはいつぶりだろうか。

 それだけでも感動である。


 その為、19時丁度に店に着いたのだ。

 すぐに酒を注文して、「今年もお疲れ様でした〜」と乾杯して忘年会のスタートである。


 皆それぞれの今年度の反省と来年の抱負を話し合う。

 壱は今年の反省として、街コンで成果上げれたのは良かったが、クラブでの成果が中々上げれなかった事を反省点とした。

 来年の抱負としては、クラブで直接お持ち帰りする事を目標にしたいと話した。


「いい目標だね、じゃ次俺の番ね」


 と雅が話し始める。雅の今年の反省として、飲みに行ったりして女の子を楽しませる事は出来たけど、いい人で終わってしまい、男を見せる事が出来なかった場面が多かったと反省した。

 来年の抱負として、3回飲みに行ったら1回は必ず女の子とホテルに行くと話す。


「具体的な目標でいいですね!じゃ次俺の番ですね」


 中が楽しそうに話す。中の今年の反省として、まず学生の為、バイトが忙し過ぎて中々、活動出来なかった事を反省した。

 来年の抱負としては、活動頻度を月一以上に増やす事とクラブで女の子をゲットする事と話す。


「中も気合入ってるなー最後俺がしっかり締めるか!」


 了は気合が入っている。了の今年の反省として、社畜になり過ぎて合コンなどにも遅刻してしまった事や女の子とご飯行ったのに仕事を優先して帰ってしまった事を反省した。

 来年の抱負として、転職して社畜からの脱却をして彼女を作ると話した。


「今の仕事は絶対辞めた方がいいですよ。了さんの体もたないですよ」

「だよなー10連勤が余裕に感じてきてるからね最近!笑」

 皆、それぞれの反省や目標を立てた。その後も今年起きた女の子との話しなどをして盛り上がり、気づけば、中はウーロンハイを3杯も飲んでいる。しかし、なんとまだ元気なのだ。以前、合コンの時にカシオレを2杯飲んだだけで、酔っ払った事があるので皆驚いている。

 まさか、中はウーロンハイに強いのか?そんな疑問も飛び交っていると、4杯目のウーロンハイを飲み出すのだ。

「今日はなんか行けそうな気がします。クラブ行って暴れてさっさとお持ち帰りしましょう」

 やっぱり中は1番ワンナイトな発言をする男である。


 終始笑いが絶えない忘年会、あっという間に二時間が過ぎた。

 最後に乾杯で締めくくり、店を出る。先程、早くお持ち帰りしたい発言をしていた中が一目散に店を出てクラブに向かうかと思ったら、了の方が早く店を出て、クラブの方にもう向かっていた。

 了も実は日頃の仕事のストレスが溜まっているようで早くクラブに行きたかったようだ。


 その後は足早にクラブに到着した。


 一体どんな出会いが待っているのか、クリスマスはワンナイト軍団に味方してくれるのであろうか?素敵なプレゼントがもらえるのだろうか?壱達は胸を踊らせてクラブに入って行ったのだった。



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