仕え人


 霊山にて、己を捨てて、最高神官のためだけに存在する人々。

 大概は時を終えた聖職者が、メル・ロイとなって彷徨う代わりに、霊山に篭って、間延びさせた寿命を使っている。

 寿命のある者は、霊山の気に影響を及ぼすことが多々あるからである。

 個人であることを捨てているので、名前も捨て去っており、お互いを役職名で呼び合っている。仕事が変わると、呼び名も変わる。



【フィニエル】


 最高神官の仕え人と巫女姫の仕え人を繰り返し担当する古株。

 マサ・メルの巫女姫を約六十年間過ごした後、仕え人として霊山に戻り、マサ・メルの仕え人として長く務めた。

 サリサの仕え人として彼を教育した後、エリザの仕え人としてエリザを支える。

 エリザとサリサだけが、彼女を名前で呼んでいた。



【リュシュ】


 元々は三の村でお菓子屋さんを営んでいた異色の仕え人。

 マサ・メルが最後に選んだ仕え人であり、彼がなぜリュシュを霊山に呼んだのか謎である。

 それくらい霊山の仕え人には似合わない性格で、俗世のお菓子作りがやめられない。甘党のサリサとは気が合い、名前で呼ばれている。

 霊山では食事係だったが、ミキアの仕え人や最高神官の仕え人を経て、フィニエル亡き後、エリザに仕える。

 エリザが山下りした後は、食事係や掃除係になったようだ。



【リールベール】


 薬草の仕え人として長く、エリザに知識を伝えた。

 名前は捨て去っていたが、最高神官の仕え人となり、サリサが水晶台で眠っている間に名前を悟られ、以後、名前で呼ばれている。

 フィニエルほど能力が高くはないが、同じように霊山の常識を持った正統派の仕え人である。



【医師の者】


 霊山で医学をもとにした治療・体調管理を行う仕え人。

 性別も捨ててはいるが、男性であるので、エリザは診察を苦手としていた。

 やや物事をはっきりと言わない部分があり、気の弱さが伺える。

 ムテの魔の力をもとに癒す癒しの仕え人とは、仲が良さそうに見えて、実は気が合わない。



【癒しの仕え人】


 エリザに癒しを伝授した。

 癒しの能力が高いエリザに好意的ではあるが、感受性が高く、時々、霊山の気に乱されることもあり、八つ当たりすることも。

 医学をもとにしている医師の者とは、いつもつるんでいるのだが、実は気が合わない。



【唱和の者】


 何人かいるが、その中の一人が、祈りの力に劣るエリザを目の敵にしている。

 後にサラの仕え人となり、余計にエリザを嫌うが、最後はサリサを救うために消耗して散った。

 散ってなお、エリザを排除しようとする仕え人の代表として、呼び戻されたこともある。



【最高神官の仕え人】


 エリザが巫女姫として霊山に上がった時、最初に仕え人としてついた。

 元々は男性であり、エリザは萎縮した。

 もっとも霊山の仕え人らしき存在であったが、シェールの改革についていけず、散った。



【書類の仕え人】


 唱和の者他三名が散った後、補充された新参者。

 元々は学び舎にいた神官の子供であり、寿命を残して霊山に上がってきたため、霊山を降りても活動できる。

 ふとしたきっかけで、サリサからエリザを見張るよう命じられて以降、ずっとその仕事を続けているので、リールベールから「癒しの巫女の仕え人」と揶揄やゆされている。

 本編の後半では、リュシュやリールベールと絡む重要人物。



【名簿係の仕え人】


 巫女姫選定のための名簿、仕え人補充のための人選の原本などを担当。

 本編での出番は少ない。

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