第6話 初陣チーム・シェムシュン

 チーム名が決まった日の放課後、僕らは初めてチーム戦……すなわち共闘状態でプレイすることにした。ゲームをプレイして共闘を選び、店舗内の項目を選び僕たちシェムシュンのメンバーが現れる。

 ゲーム中はボイスチャットによって閉鎖された筐体内でも問題なく意思疎通が行える。そして選ぶのはCPU戦だ。これは難易度毎が異なるAからLまでのコースが用意されていて、それらのコースにそれぞれ九ステージ用意されている。またA-1からB-2、B-2からA-3、C-3など難易度がそれぞれ一段階変化するものはその直前のステージクリア後に自由に行き来できるのだ。

 つまり難易度で物足りなくなっていたり、難しくてクリアできなくてもコンティニューなどである程度は自由に難易度を操作できる。もちろんコース前半のステージよりも後半のステージのほうが当然ながら難易度が上昇しているが。

 僕たちはチームにおいて初プレイであるために今までプレイの中で少しは慣れた最低難易度のコースを選択しプレイを始める。ローディング画面に切り替わると同時に、筐体の中の空間がすべて全てモニターのように切り替わった。

 このゲームの売りの一つとなっている360度モニターだ。もちろん、全部同じ内容ではなく、場所ごとに対応した映像を描画している。また綺麗な映像であるために、実際に自分自身が宇宙空間でロボットのコックピットにいるような体感ができる。そのためゲーム自体が三人称視点のサードパーソンビューではなく一人称視点のファーストパーソンビューである

 そして艦の中から出撃するムービーが流れてついに第一ステージが描画される。正面のモニターから開始のカウントダウンが3・2・1と流れていく。毎度プレイするたびに一種の緊張感につつまれていく。

 開始と同時に足元にあるブーストパネル踏んで真っ先に躍り出る。これは僕たちの今までのプレイからの判断だ。児玉さんのプレイは中距離から遠距離での攻撃命中率が高く、逆に僕は苦手で低かった。逆に近距離においての被弾と命中率は僕が高くて児玉さんが逆に悪かったらしい。

 氷上は僕らをフォローするために近づきすぎず、また離れすぎない距離を保つことにした。そして僕らは前方を僕が、氷上が左後方、児玉さんが右後方についてV時のようなフォーメーションをとる。

 そして接敵した相手に右手で持っている『多目的攻撃兵装リエディエ』の射撃モードによる牽制のエネルギー弾を放つ。射撃モードの中でも連射が効くが、単発の火力が低い攻撃だ。

 牽制によって敵のUEと呼ばれる謎の敵体生物は回避を行い、そこを僚機の氷上と児玉さんが射撃高威力モードのリエディエを確実に当てていき沈めていく。

 それにしても何度見ても敵のUEの雑魚敵のグラフィックを見ると、大分前に放送された戦闘機ロボットとアイドルの歌を中心にしたものや、スポコンとロボットを合体させたアニメの一番弱い、謎だった敵体生物を連想させるデザインとなっている。緑色なのも連想させる相乗効果を生んでいた。

 向かってくる敵の攻撃を可能な限り避けながら、攻撃していくが多少の攻撃はどうしてもまだ慣れていないためなのか食らってしまう。リアルを重視したためなのか、被弾すると座っているコックピットを模したシートが揺れる。余談だがシートの揺れもそれなりの種類のパターンが用意されているらしい。

 そのうち敵の一体が近接攻撃が可能な距離となったので、僕はボイスチャットで仲間に伝えてフォローを頼むと同時に近接戦闘に切り替える。僕は武器のリエディエを近接攻撃モードに切り替えて、接近戦をしかける敵をロックオンする。そして機体を動かして中心にとらえていく。

 剣モードに切り替えてエネルギーソードが現れる。僚機の牽制攻撃から、うまくブーストをかけて敵に接近して敵を切り裂く。そして近くにいる敵からの攻撃を回避すると同時に射撃モードに切り替えて、高威力モードで撃破する。

 こういったことを僕らは繰り返し無事にステージ、そして初心者コースを問題なく攻略することに成功したのであった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る