第19話 警告

 オーバード教との交戦から、僕はあのレスク神父とかいう男のことやオーバード教について調べたいことがあった。しかし、宗教に興味を抱いた人物として疑われてはどうしようもない。

 本当に事実関係が判明してから処罰されるならいいが、もしそうではなく疑われた時点でダメなら調べること自体がダメだろう。

 なぜならあの戦闘のあと艦長からそういう風に釘を刺されたからだ。興味を持ってはいけない、噂に疑問を抱いてはいけない、調べるのもいけないと。最悪は処刑されるとのことだ。

 事実として艦長はこれまで僕らに言ったことをして、数多く処刑された軍のライブラリーを紹介された。確認すると閲覧はしていないが映像記録があるのも確認できる。

 このことから僕はゲームのオーバードフレームに似たようなものを感じていた。しかし、実際に死人が確認されている以上は調べる気にはなれなかった。

 僕は速村先輩と二人きりのときにオーバード教信仰者の処刑と神父について思ったことを伝えた。

「僕も君たちと似たようなものを感じていたけど、実際に僕の回りでも調べて処刑された人はいるよ。そらが軍にとって都合の悪い真実を掴んだからなのか、また単純に信者になったのかはわからないけどね。ただこのことに関しては異常な部分は感じるけどるよ。

 異常といえばレスク神父の一度も被弾していないという噂もだね。僕は完全に本当だとは思っていないけど、数回遭遇したなかでは一度も当たってなかったんだ。だから真実の側面も見えるんだ」

 とのことだった。



 数日後、僕は芝水先輩に呼び出された。高校時代も同じ部活に所属していたとはいえ、あまり接点はなかった。

 少し疑問に思いながらマントル呼び出された場所に行くと、既に中で待っていた。そして僕が来たことを確認するといきなり銃を突きつけられた。見たところ発光や発砲音を抑えるサプレッサーがつけられている。

「君はその年で自殺願望でもあるのかな」

 僕が訳もわからず混乱していると、彼女は僕の様子を気に止めていないように言葉を投げつける。

「オーバード教はそれだけ軍にとって禁忌として扱われている。これ以上深入りするなら死を覚悟することだ」

 驚いていると彼女は僕に突きつけた銃を横にずらして引き金を引いた。

「これは警告だ。次は当てると思え」

 そう言って先輩が出ていこうとした時だった。先輩の横に何かが高速で通りすぎた。そして後ろで小さな穴を開けた。

「その役目は俺のものだ。お前には渡さない。初めて会ったときから、同じ匂いを感じていたが貴様も犬とはな」

「君だって同じ犬だろうに、氷上」

「俺は狂犬だ。全てを喰らい尽くす、な」

 そう言って、二人はしばらくのあいだ互いに警戒しあうのであった。僕はわけもわからず二人の様子を眺めていた。

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