第9話 大会一次予選 チーム戦

 ついに僕たちの本命の戦いが始まる。僕らは同時に自分たちが今回使用する筐体に向かった。そして僕はここ一年の間にいつものようになった、ICカードをセットから始まるプレイ前の動作を行う。

 ゲームのロード時間に一回深呼吸をして、気持ちを落ち着かせる。ステージは先ほどプレイしたソロ用のプログラムとは異なるチーム戦専用のものだ。もちろん、難易度はソロよりも上がっているはずである。

「山賀、児玉、準備はできているよな」

 ゲーム内のボイスチャットを通して氷上が僕たちに聞いてきた。僕たちはそれぞれ自分たちなりの言葉で大丈夫だと伝えた。

 ロード画面が終わり筐体内の360度モニターに宇宙空間が描画される。そしてカウントダウンが終わってゲームが始まる。

 僕はまず真っ先に機体のブーストペダルを踏みこみ前進していく。同じように氷上も動きツートップとして僕たちが前衛をつとめる形になる。並行しながらモニターにレーダーを表示して敵の数を確認する。ゲーム本編において確認したこともない数が同時に表示されていた。

 最高難易度のステージでさえ敵が同時に出てくるのは八体が限界なのだが、これは倍以上の二十体は出ていた。とはいえ敵機の距離がある程度あるため、合流される前に各個撃破が出来れば問題なさそうだ。

 序盤は僕たちの想定通り苦戦もなく進んでいった。だが敵を十体ほどに減らした時だった、突如として敵が真後ろに出現した。新たに出現した敵が最も近い味方は児玉さんだ。

「氷上! 任せた」

 比較的敵が手薄だったほうの僕は彼女の方に援護に向かう。後ろから攻撃してくる敵をいなしながら、少しずつ近づいてく。だが、どうしても真後ろなため被弾は避けきれない。それでも致命傷にならない部位に当たるように動いていく。被弾するたびにリアルの再現としてコックピットシートが揺れるのに、耐えながら児玉さんの下に到達する。

 彼女と一旦背中合わせの状態となり、彼女は僕を追ってきた少ない敵機の処理にかかる。僕は増援として出てきた敵機の方に向かっていった。そこから危ない場面もなく無事にクリアすることが出来たのであった。

 そして僕たちは二次予選に参加する権利を得た。その二次予選でも僕たちはソロ戦では負けていったが、本命もチーム戦では無事に通過することができ、初めて全国大会へのキップを掴み取ることが出来たのであった。

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