第8話 大会参加 一次予選

 一年間、僕たちチーム・シェムシュンはずっとゲームをやりこんでいた。親や教師からは進路の選択を考えるように言われてはいたが、僕らはある程度無視してゲームに時間を注いでいた。

 この一年の間に開催されている大会には参加したものの、そのどれも決勝戦までに行くことはできなかった。今後は受験がメインになるため今の時期で受けられる最後の大会である。また、そのときに大会の上位者はことごとく次の大会には参加していなかった。

 そして今、その最後の大会が始まろうとしていた。開始時間になると同時に本大会の司会・進行などを務める恒例の人物、相楽さがらという人物が現れる。

「ハロー、プレイヤー諸君。今回もこの私、相楽が司会および進行を務めさせていただきます。今回の大会も各部門、ソロプレイ・タッグプレイ、そして三人から四人のチーム戦それぞれ行われれます。

 ルールは簡単、最初に今大会専用CPU戦プログラムのステージをプレイし、そのスコアの上位者が予選通過。そして予選通過したメンバーから更に新たな大会専用CPU戦プログラムをクリアし、その状態で他にクリア者がいたら、そのステータスを引き継いでの対戦だ!

 さて、今回は一体だれが栄光を勝ち取るのか……そして次なる戦いの場となる二次予選に向かえるのか楽しみだ。オーヴァードプレイヤーよ、ここにいる多くの人たちをそのプレイングで熱くさせてくれ!」

 こうして大会が始まる。このゲーム自体の噂のせいだろうが、総じてプレイヤーの人口は多くない。そのため競い合う相手も少ないため、今回三人以上のチーム戦に参加するのは僕たちだけとなっていた。

 それでも大会専用のCPU戦のプログラムの結果によって次の二次予選に行けるかが決定される。僕らシェムシュンも個別でソロプレイのほうにも登録しているが、大会上位の狙いはチーム戦である。

 そして個別での大会は僕と氷上が二次予選に入った成績を残したが、残念ながら児玉さんは予選落ちした。ただ、これにはちゃんとした理由がある。

 僕たちが慣れてからは氷上と僕と二人で前衛を担当していた。どうにも彼女は前衛には向いていなかったのだ。ただ僕ら以上に遠距離での戦いや、仲間のフォローはチーム内でトップとして成長していた。

 だからこそ、今回のソロプレイではどうしても成績が出なかったのだ。それでも遠距離での交戦時には確実に攻撃を命中させていっていたが、いかんせん敵の数が非常に多く、捌ききれずにゲームオーバーになってしまった。

 そして今、タッグプレイ部門が終了して最後のチーム戦が始まる。

「これにてタッグチーム部門が終了だ。両社ともナイスファイト! そしてこれより三人以上が必要なチーム戦の始まりだぁ! 今回は一チームのみだ。それではチーム・シェムシュンのメンバーの山賀歩武! 氷上黎人! 児玉弓夏! それぞれ筐体に向かってくれ。

 このうち二人がソロ部門での二次予選に行く実力を持っているシェムシュンのメンバー。チームとなるとどのようなプレイングとなるのか注目だ!」

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