第5話 チーム結成
僕がオーバードフレームをやり始めて三日、つまり児玉さんが始めてから二日が経った昼休み、愛好会室で僕たちは集まって食事をしていた。みんなが食事を終えてから開口一番に喋る。
「これからは俺もプレイヤーとして参加する。そこでICカードを利用したチーム機能を使おうと思う。キミたちの速村先輩と芝水先輩たちも“5121”という名前を使っていた」
僕たちは氷上から詳しく話を聞く。どうやらチームの登録をすると、毎月チームによるランキングがあるそうだ。そこで実績をあげることにより、大会に出られる参加資格も得られることがあるらしいとのことだった。
「チームを組んでいなくても個人毎のランキングはあるが、そのランキングのトップとはいかなくても上位が複数いるチームだと強そうに感じるだろ」
今まではずっとソロプレイが中心だったから必要のない機能だったけどな、と氷上はどこか自虐したような感じで付け加えた。
「そこで俺たちには必要なのはチーム名だ。後からでも変更できるが、できれば早いうちに決めておきたい」
こうして僕たちのチーム名を昼休みの残り時間で考えることになった。とりあえず思いつく限り僕らは言っていき、レイドワイルド・インヴィット・シンシア・ブリュンヒルデ・エレメンタラー・レイディアントなどの候補がどんどんと上がっていく。どれもしっくりとこない部分があった。
そこで過去の愛好会のメンバーの人が残した日本語を多くの外国語に変換しているネーミング辞典を見て探してみても、どこかイマイチな印象があった。なによりどこかと被っていそうだったし、多くの作品でどこか聞いたような感じもある。また普段聞き慣れない単語だと地味な感じもした。
そこで僕は閃いた。どうにもしっくりこないのは、探していたのは今ある言語だから問題なのではないか……と。今まで作られた作品の中にはその世界独自の言語が存在する作品がある。ちょっとした日本語を変換した言語だが、それでも音の響きはかなり変化が発生するのだ。
そういった言語から僕らが求める単語をウェブにある変換を用いて調べていく。そこに僕が求めた感じのチーム名を見つけた。
「チーム名はシェムシュンでどうかな。とある作品内で使われた言語で王を意味する単語なんだけど」
「王か……俺たちが目指すべき場所は優勝だから意味も悪くないな」
「私もいいと思う。どことなく言葉遊びっぽい感じもあるし」
こうして僕たちのチーム名が決まった。チーム『シェムシュン』、名前に恥じないように僕たちはいつかキングになる。僕らはお互いに手を伸ばし、中央で重ね合ってそう誓った。
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