第4話 オーバードフレーム
児玉さんが参加することを決意した放課後。僕らは昨日と同じようにゲームセンターにいた。そこで彼女と一緒にゲームをするためだ。そこでゲームのICカードを手にした。
このゲームはICカードを使用しないプレイだと、毎回ゲームをする前に利用規約の説明がある。しかし使用してプレイする場合は初回プレイの一回のみとなるのだ。ネットで話題になるのはゲーム内の用語を用いた規約があり『キミは銀河連合軍の一員となり、銀河連合軍の要求に対しては必ず行うもの』というものがある。
また同様にICカードを使用しない場合は毎回ゲームの世界観を説明する解説の場面がある。この世界観説明も同様に飛ばせるのだが、毎度毎度やると塵も積もって結構な時間となるのはあきらかだ。
このゲームの筐体内は結構な広さがあり、ゲームをプレイする人以外にも二人ほどは楽に入れるスペースがある。これは初心者プレイヤーに教えるための空間を用意しているとのことであるらしい。
今は筐体内で彼女がプレイする補助を僕と氷上が行うところだ。ゲーム進行状況は世界観説明の場面となった。
『銀河連合軍へようこそ。今からあなたは銀河連合軍に所属する軍人の一人となって、突如として宇宙空間にワープして現れる謎敵体生物
UEには通常の兵器が全く効かず、それに唯一対抗できるのは人型ロボット兵器オーバードフレームのみ。これから、あなたはオーバードフレームを動かすパイロットとなってUEを戦う軍人になります。
さぁ、銀河を救う英雄となれ!』
世界観説明のムービーが終わりこれにて初期登録は完了した。これからゲームが始まっていく。彼女はチュートリアルを選択して遊び始める。僕らも横でアドバイスをしながら少しずつ進行していく。僕自身は昨日の復習も兼ねている。
操作が複雑なため、このチュートリアルも何度かやることになるが、丁寧な作りになっているため各項目ごとに飛べるのが幸いである。こうして彼女が基本的な操作ができるようになるのには二時間ほどの時間が必要だった。
そこからは僕がソロプレイで遊び、児玉さんには氷上がついてフォローすることになった。途中、何度かゲームオーバーになりながらも一歩ずつではあるがプレイが上達していった。
そして、あっという間に時間が過ぎた。帰り道、僕らは三人で歩いていた。
「今日、生まれて初めてゲームをやったけど複雑なゲームだね」
児玉さんが僕らに話しかける。僕は彼女の顔を見る。ちょっと困った感じの顔だったが、同時にどこか楽しくも感じているようにも思えた。
「あのゲームはとびきりで複雑で、今までゲームばかりやっていた僕も戸惑ってばかりだよ」
「そうなんだ。この調子でいったら大会に優勝するまでどれくらいかかるんだろう……。そもそも優勝できるまで行くのかな」
「それは間違いなく行ける」
力強く氷上は告げる。顔を少し歪ませてニヤりと笑う。
「なぜなら優勝者は勝手にいなくなるからな。いずれは俺たちの番がやってくるだろう。もっともそれなりの実力がついている前提だがな」
僕たちの顔を見て、彼はもう一度ニヤりと笑う
「だが、逆に言うと他のゲームでトップを狙うには簡単だということだ。ノーダメージをやれる変な奴、タイムアタックのように精密な操作をやる奴、そういった超人がいないからな。普通に上手くなれば、いずれチャンスはやってくる」
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